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「上級高齢者/下級高齢者」の残酷な分断 3割が資産2000万円超で3割が資産ゼロ

 発火点となった金融庁の報告書では、「平均的な世帯」は持ち家で2000万円程度の金融資産を保有しているとされる。だが金融広報中央委員会の「家計の金融行動に関する世論調査」では、2000万円以上の金融資産を保有しているのは、70歳以上の世帯の27.9%に過ぎない。

「平均以下」だといわれた残りの7割超が、“「下級高齢者」として生きていくしかない”と宣告されたと考え、怒りや不安に駆られたことで政界を揺るがす大騒ぎになったのだろう。

 同じ調査では、70歳以上の世帯の28.6%が「金融資産を保有していない」と回答している。数にして700万人にも上り、高齢化の進行によってこの層が1000万人に達するのも時間の問題だろう。

 日本の高齢者は、裕福な3割(上級高齢者)と年金以外に生きていく術がない3割(下級高齢者)に分断されているのだ。

◆橘玲(たちばな・あきら):1959年生まれ。作家。『お金持ちになれる黄金の羽根の拾い方』(幻冬舎文庫)、『言ってはいけない 残酷すぎる真実』(新潮新書)などベストセラー多数。新刊『上級国民/下級国民』(小学館新書)が話題。

※週刊ポスト2019年8月16・23日号

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