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【日本株週間見通し】週末反発の日経平均に21000円回復の期待も

 追加関税の応酬が懸念される中、中国政府が冷静な米中貿易交渉による解決を望む姿勢を示したことを受けて29日のNYダウが続伸、この流れを好感する形で30日の日経平均は反発した。為替相場の落ち着きや、朝方寄り付き前に発表された7月の鉱工業生産速報値が、前月比1.3%上昇と事前の市場予想を上回ったことなども加わって、日経平均は20700円台に上げ幅を広げた。

 今週の日経平均は、積極的な買い材料には乏しいものの、21000円台回復に向けてリバウンドが続く期待が膨らんでいる。米政府が中国製品に追加関税を課す「対中制裁関税第4弾」を9月1日に発動する。一方、中国商務省が、9月上旬に閣僚級の協議を開催する方向で米国と調整中と報じられる中、米中両国の通商交渉団が、対立解消に向けて「異なるレベル」での協議を行う予定と語るなど、一歩前進したとの印象がマーケットに芽生え始めていることが注目される。

 予測できないトランプ米大統領の発言には、なおリスクが付きまとうが、米中貿易協議の再開が具体化することは為替のドル高・円安傾向を促す材料にもつながり、外部環境は好転の兆しを見せている。実際、今週の日経平均は下落したものの、直近の8月6日の安値20110.76円割れを回避して、週後半にかけて下値を切り上げる流れを形成している。一方、FOMC(米連邦公開市場委員会)の9月17日-18日開催を控えて、FRB(連邦準備理事会)の利下げペースを巡る先行き不透明感がNYダウの上値の重しとなっている。

 そのため、6日に発表される米8月の雇用統計に対する関心は高い。発表時間は6日大引け後の日本時間21時30分であることから、週後半にかけては手控え要因のイベントとして意識されそうだ。このほか、通常は影響が限定的ながらも、世界景気に対してマーケットが過敏になっているため、2日のトルコ4-6月期GDP、3日の豪州準備銀行理事会、4日の豪4-6月期GDP、カナダ中央銀行の政策金利、6日のブラジル8月消費者物価といった経済指標や金融政策の発表にも注意を払いたい。

 また、今週は日経平均構成銘柄の定期入れ替えの発表が予想される。2018年、2017年と発表は5日、2016年は6日、2015年は4日の大引け後に発表されている。今回の事前予想では、新規採用候補でカカクコム<2371>、任天堂<7974>、ZOZO<3092>、エムスリー<2413>、ビックカメラ<3048>、一方、除外では東京ドーム<9681>、日本化薬<4272>などが候補にあがっている。任天堂あたりが新規採用されてくると、ゲーム関連株に人気が波及しやすくなるだろう。

 一方、物色面では引き続き個別株物色が主体となりそうだが、テーマ物色も浮上する期待がある。8月30日には大阪大学の西田幸二教授チームによるiPS細胞由来の角膜組織の移植が報じられて再生医療関連株に動意が広がった。このほか、米アップル社が9月10日(日本時間11日午前2時)にイベントを開催し新製品を発表する予定となったことから、アップル関連株物色にも期待が膨らんでくる。ラグビーワールドカップ日本大会の開幕も20日と迫ってきていることから、スポーツ、インバウンド関連にも物色人気の矛先が向く可能性がある。

 今週の主な国内経済関連スケジュールは、2日に4-6月期法人企業統計、8月自動車販売台数、3日に8月マネタリーベース、6日に7月家計調査、7月毎月勤労統計調査、7月景気動向指数が発表される。

 一方、米国など海外経済関連の主要スケジュールは、2日はレーバーデーで米国市場休場、3日に米8月ISM製造業景況指数、米7月建設支出、4日に米7月貿易収支、ベージュブック、5日に米8月ADP雇用統計、米7月製造業受注、米8月ISM非製造業景況指数、6日に米8月雇用統計、EU第2四半期実質GDP成長率、8日に中国8月貿易統計がそれぞれ発表の予定だ。

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