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【日本株週間見通し】米中貿易問題をにらみ22000円回復を目指すか

 トランプ大統領が中国副首相と会談する予定を明らかにし、米中が通商協議で部分的に合意するとの期待から10日のNYダウが大幅続伸となったことを受けて、11日の日経平均は一段高でスタートした。その後、一時1ドル=108円台まで円安が進んだことや、上海総合指数の続伸が支援材料となり日経平均は前日比268.79円高まで一時上げ幅を広げる場面があったが、この日のSQ(オプション特別清算指数)値21842.63円には届かなかった。決算発表を受けたファーストリテ<9983>や構造改革案を開示した7&iHD<3382>を中心とした小売株の上昇が日経平均の押し上げに寄与した。

 今週の日経平均は、米中貿易問題をにらみながら9月26日以来となる22000円台回復をうかがう展開となりそうだ。焦点は、米国政府による2つの関税引き上げに絡む予定日が控えていることにある。1日から15日に実施が延期されていた対中国関税の第1段から3弾の25%から30%への引き上げと、18日に設定されている対EU報復関税の発動予定日だ。

 まずは、15日の対中関税の実施が回避されるかが大きなポイントとなり相場の分水嶺になる。週末11日に掛けて日本だけでなく、米国、中国の株式市場は米中貿易協議に関して楽観ムードに大きく傾斜した。15日の関税引き上げが回避されれば、リスクオンの展開入りが意識されることになる。

 一方、欧州については英離脱延期法が定めるEUとの離脱案合意期限もある。英国のEU離脱(ブレグジット)期日を今月31日に控えて、17日のEU首脳会議で英政府が離脱協定に合意できない場合、19日までに英国は離脱延期を要請することが義務付けられている。ジョンソン英首相は、離脱延期はしないと明言していることから、市場に混乱が生じる懸念もある。

 こうした関税とブレグジット問題に加えて、14日の中国9月貿易収支、16日に米9月小売売上高、18日に中国7-9月期GDPと、市場に影響が大きい米中の経済指標の発表が予定されており、不安定要素を複数抱え込んでいる週ともなっている。そのため、米中動向と経済指標に日経平均は一喜一憂する展開となりそうなことにも留意して置きたい。

 さらに、翌週に目を転じると22日が即位礼正殿の儀により株式市場は休場、23日の日本電産<6594>による発表を皮切りに、3月期決算企業の第2四半期決算が本格化するというスケジュールをにらんで、積極的な売買は手控えられる可能性もある。

 物色的には、旭化成の吉野彰名誉フェローのノーベル化学賞の受賞でリチウムイオン電池関連や電線地中化関連の人気が継続する期待がある。また、決算発表や構造改革の発表を受けてファーストリテ<9983>や7&iHD<3382>、良品計画<7453>などが上昇したことを受けて、業績相場への移行も進んできそうだ。今期業績を下方修正した安川電機<6506>についても、売り一巡後は下げ幅を縮め、周辺の中国関連、設備投資関連への売り波及が見られなかったことは収穫だった。唯一、11日の相場で主要指数が上昇する中、マザーズ指数のみが3日続落となったことが懸念される。

 今週の主な国内経済関連スケジュールは、14日は体育の日の祝日で休場、15日に日銀支店長会議、10月の地域経済報告(さくらレポート)、8月第三次産業活動指数、16日に9月訪日外客数、17日に9月首都圏新規マンション販売、18日に9月消費者物価指数の発表が予定されている。

 一方、米国など海外主要スケジュールでは、14日に中国9月貿易収支、15日に米10月NY連銀製造業景気指数、中国9月消費者物価指数・生産者物価指数、IMFが世界経済見通し、16日に米9月小売売上高、米10月NAHB住宅市場指数、米8月企業在庫、ベージュブック(地区連銀経済報告)、17日に米9月住宅着工件数、米9月建設許可件数、米10月フィラデルフィア連銀製造業景況感指数、米9月鉱工業生産・設備稼働率、18日にIMF・世銀年次総会(20日まで、ワシントン)、中国9月都市部固定資産投資、中国9月工業生産、中国9月小売売上高、中国7-9月期GDP、米9月CB景気先行総合指数、米政府による対EU報復関税の発動がそれぞれ予定されている。

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