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「アニメで町おこし」、熱意が空回りして批判や炎上のケースも

 ただ、市の担当者に聞くと、「過去の経験の蓄積があって、今があるんです」と語る。

 もともと唐津市では男子フィギュアスケートを題材にした『ユーリ!!! on ICE』(2016年放送)が女性ファンに支持され、放送終了後から昨年8月までの統計で宿泊やグッズ販売など直接的な経済効果だけで4億円を売り上げた。聖地巡礼関係で宿泊者2万人という実績は、市全体の宿泊者が50万人の唐津市では上々の効果だという。

「ただ、お叱りもたくさんいただきました。作品では、出身地が唐津という設定なのはあくまで主人公。それなのに、別の登場人物を前面に出したことで『それはおかしい』と電話で抗議をいただいたこともあるし、グッズが早く売り切れることにもご批判がありました」

 唐津市ではこうした反省点を記録・共有して『ゾンビランドサガ』関連の取り組みに生かしているという。前出・岡本氏はいう。

「アニメファンの目線に上手に寄り添うには、地域の側にファンと一緒になって作品を読み込むような熱い人が必要になる。失敗して試行錯誤をする苦労を楽しめるくらいでないと“アニメで町おこし”はなかなか成功に至らないのです」

 地元が舞台となった作品に“打算”だけで飛びついても、うまくはいかないようだ。

※週刊ポスト2019年12月20・27日号

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