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スタートアップの響きに憧れて転職した30代男性の誤算と後悔

2020年2月15日 16:00

 

「憧れの転職」を実現したはずだったが…(イメージ)
「憧れの転職」を実現したはずだったが…(イメージ)

 昨今ではステップアップのために会社を辞め、起業や転職を勧める提言も少なくないが、転職したことを心から後悔する人もいる。数年前に大手メーカーを辞めたことを、今になって「失敗だった」と振り返るのは、30代後半の男性会社員・A氏だ。

 A氏は新卒で入った大手メーカーで宣伝部に配属されていたが、32歳の時、年上の知人がベンチャー企業を立ち上げ、「宣伝・広報部長として入ってもらえないか」とオファーを受けた。そこで、将来的には上場を目指していると説明され、「ストックオプション」(自社株を一定の行使価格で購入できる権利)」などの魅惑的な言葉も出てきた。

 その頃は周囲でも転職をする人が多く、「転職=キャリアアップ」といったイメージもあった。その一方、新卒で入った会社に居続けることは「ぬるま湯に浸かっている」と捉える空気もあったという。

 32歳のモヤモヤした時期に降って湧いたワクワクするようなオファー。それまで役職なしのヒラ社員だった自分に「部長」の肩書がつくのも嬉しいこと。また、旧態依然とした会社の体質にも嫌気が差している時期だった。

「スタートアップ」という言葉にも、今までにない新しさを感じ、A氏は希望を胸に抱き、転職を決意した。その時は会社に残る同期に対して、「いつまでも時代遅れの環境で仕事していて、将来大丈夫なのか?」とさえ思っていたという。

 だが、A氏は転職から数週間で「思い描いていた姿とは違った……」と考え始める。なにしろ職場に「温かみ」がないのだ。

「前の会社の時は職場で雑談が絶えない毎日でしたし、同僚と一緒にランチに行ったり、飲み会も頻繁にあるような環境でした。誰か忙しすぎる人がいた場合は他の部員が手伝うなど互いを補い合う文化がありました。でも新しい会社では誰もが自分の仕事だけを考え、“協働”の概念がありません。私は部長の立場なので指示を出しますが、『突然言われても困る』と言われて仕事を拒否されることもしばしば。自分のリーダーシップのなさが招いたものではあるものの、『部全体で仕事を完遂させよう』という“全体最適”の考えが欠如していました」(A氏・以下同)

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