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がん保険の落とし穴 免責期間、再発などで給付金が出ない

「あとで給付があるから安心」という認識だと痛い目を見ることも(イメージ)

「あとで給付があるから安心」という認識だと痛い目を見ることも(イメージ)

 日本人の2人に1人がかかるといわれ、死因としては最も多い「がん」。その治療には多額の費用がかかることもあるからこそ、「がん保険」に加入している人は少なくない。だが、いざという時に、その備えが全く役に立たないことがある。

 夫に胃がんが見つかり、金銭的な負担を感じた60代女性は、その翌月、自らがん保険に加入した。間を置かずにがん検診を受けたところ、乳がんが見つかった。がん保険には契約から90日以内は給付が受けられない「免責期間」があり、彼女が乳がんと診断されたのは、あと2週間で免責期間が終わるタイミングだった。がんライフアドバイザー協会代表理事の川崎由華氏が指摘する。

「自身の体の不調や家族ががんになって不安を感じたことを理由に、がん保険に加入し、その流れでがん検診に行くケースは少なくないので、注意が必要です」

 そう話す川崎氏の父親も、「免責期間」が理由でがん保険の給付が受けられなかったという。

「父は、56歳で慢性的な体調不良に悩まされていた時に、家族にも告げず、こっそりがん保険に加入していました。その直後、体調が大幅に悪化し、検査でがんと分かった時にはすでに治療が難しい状態だった。父の死後、証書が出てきたので保険会社に問い合わせましたが、免責期間で1円も支払われませんでした」(川崎氏)

2年以内の「再発」は給付金が出ない

 がんは「再発」の可能性がどうしてもつきまとう。乳がんが再発してしまった62歳の女性は、30年間にわたって150万円もの保険料を払ったにもかかわらず、加入していた保険の免責事項である「2年以内の再発」だったために、診断一時金50万円を受け取れなかった。

 100万円にも及んだ治療費は高額療養費制度などを利用したことで、自己負担は保険適用外の費用を合わせて30万円ほどで済んだが、治療によって仕事を休む収入減もあり、生活には大きな痛手となった。『いらない保険』など多数の著書がある「保険相談室」代表の後田亨氏がいう。

「“再発に対応しているがん保険”であっても、初回の確定診断から2年経過していなかったり、高齢での再発で入院しなかったりすると、一時金が出ない商品があります。約款などで、きちんと条件を確認しておくことが重要です」

※週刊ポスト2020年3月13日号

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