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コロナ禍でも融資に応じ続ける城南信金 有事に強い組織の特徴は?

城南信用金庫の融資窓口で対応する職員たち(写真:時事通信フォト)

 コロナ禍による未曽有の経済危機を迎え、日本政策金融公庫では中小企業に対し、3月中旬から「新型コロナウイルス感染症特別貸付」という実質無利子の緊急融資を開始した。だが、4月末現在で申請が46万件を超えたものの、実行できたのは6割以下。手続きに手間取り、融資されるまでに時間を要している金融機関は少なくない。金融機関の現場では、どのように融資を判断しているのか。城南信用金庫(以下、城南信金)の顧問を務める吉原毅さんは語る。

「会社経営者が融資の相談に来て、こちらが本部のお伺いを立てていたのでは、間に合わないこともあり得る。ですから当金庫では、融資についても職員個人や支店単位で判断しています」(吉原さん・以下同)

 城南信金への3月の融資相談件数は、通常の3倍増。審査書類の簡素化で貸し出しの迅速化をはかったこともあり、3月の融資額はなんと400億円以上にのぼった。前年同月の90億円と比べれば、実に4.5倍近い。ゴールデンウイーク中の5月2、3日も全店を開店して、中小企業融資支援のための相談窓口を設けた。経営トップの川本恭治理事長も休み返上で全店を回り、陣頭指揮をとった。

「“コロナでもたない会社は潰す”と自民党幹部が言い放ったという報道がありましたが、この考えはもってのほか。これでは、日本経済そのものが苦境に陥り兼ねません。会社が潰れれば、それに培ってきた技術や育てた人材、ノウハウのすべてが水泡に帰してしまう。もちろんふんばって持ちこたえることができれば、企業を救い、人も救い、それと同時に、アフターコロナの経済も立て直すことができるのです」

 その昔、「信用金庫の神様」と呼ばれた城南信金第3代理事長の小原鐵五郎(1899~1989年)の口癖は、「(信用金庫は)金儲けはするな」だった。多くの金融機関が投資で利益を生み出そうと株やリート(不動産投資信託)投資を行ってきたが、城南信金は一切、手を出していない。

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