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サイゼリヤ「急回復」を支える新施策の数々 来期黒字転換も視野に

 筆者も先日、ランチタイムに都内のサイゼリヤへ行ってみた。好きな席にお座りくださいと言われて、着席。メニューから商品を選ぶと自分で伝票に商品番号を記入して、スタッフに渡す。これも感染防止対策の一環だ。「鶏肉のトマトソース煮込み」のランチを選択。コールスローサラダ、スープ、ライスが付いて税込みワンコインの500円だ。ボリュームも十分で味も美味しく、コストパフォーマンスはかなり高いと言える。時間帯もあるだろうが、集客状況もまずまずだった。

 現在は、国内店舗の3割にあたる300店舗でクレジットカードや電子マネーに対応しているが、年内には全店に拡大する方針のようだ。私が行った店は現金のみの対応だったが、ワンコインなので、以前と比べてレジでの支払いはスムーズだった。

 サイゼリヤは、今後品質の追求に加え、生産能力向上や省人化ラインの構築などの国内工場の再構築、80店舗の既存店の改装、店舗の作業改善などの取り組みを実施することを明らかにしている。テイクアウト強化や外注商品の一部内製化で工場稼働率の改善なども進んでいる模様だ。「8月は単月で利益が出る可能性ある」と見るアナリストもいる。大手調査機関では、2020年度通期の営業損益は35億円の赤字だが、2021年度は52億円の黒字に転換すると試算しており、下落していた株価も戻り歩調だ。利益改善策が功を奏し、サイゼリヤが他社に先駆けて利益を先取りできる日も近いかもしれない。

【プロフィール】わじま・ひでき/経済ジャーナリスト。国際認定テクニカルアナリスト(CFTe)。日本勧業角丸証券(現みずほ証券)、株式新聞社(現モーニングスター)記者を経て、2000年ラジオNIKKEI入社。解説委員などを歴任後、2020年6月に独立。1985年から株式市場をウォッチし続け、四季報オンライン、日経マネー、週刊エコノミストなどへの寄稿多数。

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