中川淳一郎のビールと仕事がある幸せ

中川淳一郎氏 セミリタイア3日目にして早くも「悲しい。寂しい」

 今はセミリタイア直後のため、毎晩のように「飲みませんか!」とオファーをいただいています。しかし、この流れはあと1か月ほどで終わることでしょう。そうすると完全に世間様は自分とは距離を置く関係になります。

 同世代の皆さんがキチンと会社に行き、仕事をしている中、私だけは家でぐーたらしている状況が到来することが予想できるわけです。ここまで「定年退職」「セミリタイア」は心を揺さぶってくれるのです。

 憧れだった「セミリタイア生活」ですが、この原稿を執筆中の3日目にしてもう不安しかありません。世の中に数多いる定年退職した人たちも、こうした心境だったのではないでしょうか。自分がそうなってみて、初めてその気持ちがわかりました。

 やはり、「仕事をしている」という状態があることこそ人間には重要なんですよね。たとえ定年が近づいても無駄に厭世的にならず、その職場を大切にする方がいいんじゃないかな、と思うようになりました。ただ私の場合、ラッキーなことに、このマネーポストWEBも含めて月に約40本の連載があります。セミリタイアしたとはいえ、これだけで生活費は捻出できることでしょう。

 そう考えると、こうした連載をより大切にすることに加え、読者の皆様方に対して有益な情報を出せるよう、セミリタイアの身ながら新しい挑戦をし続けなくちゃな、と思う次第です。

 セミリタイアしてからの初めての週、やはり多くの方から飲み会のお誘いをいただき、予定は全部埋まりました。しかし、これからこの状態はどんどん減っていき、孤独を感じることとなると思います。こうした心境も含め、47歳のセミリタイア男としての実感を今後もつづっていきますね。

 それにしても人間関係って本当に大事なんだなァ……。つくづく「居場所」がある有難さを今は感じています。

◆中川淳一郎(なかがわ・じゅんいちろう): 1973年生まれ。ライター。一橋大学卒業後、博報堂入社。企業のPR業務などに携わり2001年に退社。その後は『NEWSポストセブン』など多くのニュースサイトにネットニュース編集者として関わり、2020年8月をもってセミリタイア。著書に『ウェブはバカと暇人のもの』(光文社新書)、『縁の切り方』(小学館新書)など。最新刊は『恥ずかしい人たち』(新潮新書)。

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