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「24時間自分を犠牲に…」相続で特別寄与料を請求するための厳しい条件

介護などに貢献した人が受け取れる「特別寄与料」の注意点とは(イメージ。Getty Images)

介護などに貢献した人が受け取れる「特別寄与料」の注意点とは(イメージ。Getty Images)

 2020年4月から大きく改正された相続法。新しくなった相続法では、残された配偶者がそのまま家に住み続けられる「配偶者居住権」が認められるようになるなど、夫に先立たれた妻が有利になる改正も多い。同じく妻が得する権利として注目を集めているのが、「特別寄与料」の請求権だ。

 以前は、老親の介護をしてきた長男の妻などは相続人ではないため、金銭的に報われないケースがあった。だが、4月からは、被相続人の介護などに貢献した人なら、相続人でなくても「特別寄与料」を受け取れるようになっている。6親等以内の血族と3親等以内の姻族が請求できる権利だ。しかし、請求権が認められるのは、ごく一部の限られた人だけだという。相続・終活コンサルタントで行政書士の明石久美さんが話す。

「特別寄与料は“介護しさえすればもらえる”ということではありません。もともと、亡くなった夫の代わりに義父母を介護してきた妻のためにできたようなものであり、“面倒をみた人の働きによって亡くなった人の財産が増えた、もしくは減らさずに済んだ”という場合に認められます」

 だからこそ、要件は非常に厳しい。“最低でも1年以上”、しかも“無報酬”で介護していなければ、請求権が認められることはほとんどない。デイサービスの送り迎えや簡単な入浴介助などを行っていた程度では期待できないのだ。

「特別寄与料の請求権が認められるほどとなると、実質義父母と同居していないと難しい。デイサービスなどの介護保険サービスなどはほとんど利用しないで、つきっきりで在宅介護するなど、“24時間自分を犠牲にして頑張りました”といった場合にようやく認められるもので、容易ではありません。もらえる金額も自分の希望ではなく、介護報酬の基準額を参考にして日当を決めて、一定の割合をかけて計算します」

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