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コロナ感染が懸念される中での出社命令 法的に従わなければならないのか?

コロナ感染を懸念して出社を拒否することは可能か?(イメージ)

コロナ感染を懸念して出社を拒否することは可能か?(イメージ)

 上司の指示に部下が従わなければ、職務命令違反となる可能性がある。しかし、コロナ禍の非常事態下では職務命令違反の線引きも簡単ではないだろう。では、コロナ感染を懸念し、出社を拒むようなケースは、職務命令違反にあたるのだろうか。弁護士の竹下正己氏が実際の相談に回答する形で解説する。

【相談】
 コロナ感染防止のため、今年も在宅勤務が増え、会議はリモート(部署内8人)。その際、会社に出て、処理しなければいけない事案があると、その役目は必ず私になり、上司も出社を促します。なぜ、いつも私なのか、納得できません。私ばかりに出社を指示するのは今のご時世、労働基準法に反しませんか。

【回答】
 労働基準法は第3条で「労働者の国籍、信条又は社会的身分を理由として、賃金、労働時間その他の労働条件について、差別的取扱をしてはならない」とし、違反の罰則を6か月以下の懲役、または30万円以下の罰金としています。

 その他の労働条件は労災補償・安全衛生・福利厚生等ですが、勤務場所なども入ると思います。しかし、労基法が禁じているのは国籍・信条・社会的身分を理由とする差別です。ご質問にあるように“なぜ、自分だけ……”と理由がわからないくらいですから、仮に出社かリモートかの就業場所の違いが差別的取扱いになるとしても、国籍や信条等による差別とはいえず、労基法違反にはなりません。

 労働契約は、使用者の指揮命令に従って労働者が労務を提供し、報酬を得るのが本質です。労働者は使用者の指揮命令に従う義務があります。指揮命令権も、契約による限界はありますが、コロナで在宅勤務になる前は会社で働くことが前提なので、就業場所を会社とするよう命じることは、指揮命令権の範囲内です。労働者が拒否すると、職務命令違反で懲戒処分等の不利益を受けます。

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