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「ここは嫌だ…」老人ホームを度々脱走し涙流す母に50代男性の苦悩

母自身の希望で入居した老人ホームだったが…(イメージ)

母自身の希望で入居した老人ホームだったが…(イメージ)

 終の棲家をどこにするのかは、人生の大きな選択となる。子供に介護の面倒をかけないよう、家を売ったお金で有料老人ホームなどの介護施設に入居する人もいる。介護アドバイザーの横井孝治氏が言う。

「きちんとした老人ホームを選べば、その選択は決して間違ってはいません。ただし、どんなに高額の入居金を払っても、老人ホームは“資産”にならないことを知っておく必要があります」

 退去の際に売却益が得られるわけでもないし、月額利用料がかかるので、“長生きリスク”によって想定以上に費用が膨らんでしまう懸念がある。

 入居で「夫婦仲」が悪くなることもある。福岡県在住の50代男性の両親は10年ほど前、まだ70代の時に実家を処分し、夫婦同室の老人ホームに入居した。

「地元では高級として知られる老人ホーム。環境もよく、部屋も広くて、両親は快適そうに暮らしていました。ところが父が先に体を壊してしまい、母が面倒を見るかたちになってしまった。母は“夫とは別の部屋に移りたい”と言い出しましたが、後の祭り。父は父で“俺の世話をするのがそんなに嫌なのか”と不満タラタラで、晩年になって夫婦仲に亀裂が走ってしまいました」

 前出・横井氏はこうアドバイスする。

「老人ホームに入るなら、夫婦であっても別室にして、時々顔を出すくらいの程よい距離でお付き合いするほうがストレスは少なくて済みます」

 ただしひとり部屋だからといって、快適だとは限らない。

「4年前に父に先立たれ、ひとり暮らしになっていた母親が『家を売って老人ホームに入る』と言ってくれた時は、正直“これで介護の心配をせずに済む”とホッとしたものです。訪ねて行きやすいように私の家の近くのホームを勧めた時は、母も大喜びでした。

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