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田代尚機のチャイナ・リサーチ

日本企業にもビジネスチャンス 中国でペット産業が急成長する理由

中国のペット市場規模は3000億元に(イメージ)

中国のペット市場規模は3000億元に(イメージ)

“貧乏人の子だくさん”という言葉がある。金銭的に余裕のない家庭ほど子供が多いという意味だが、これは逆に言えば裕福な家庭ほど子供が少ないということになる。実際、先進国では経済が豊かになればなるほど、少子高齢化が深刻な問題となってくる。

 5月31日に行われた中国共産党政治局会議では、「生育政策を最適化し人口の長期均衡発展を促進させることに関する決定」を審議し、通過させた。これにより、一組の夫婦は3人の子供を持ってもよいことになる。育児休暇や、育児保険制度を改善し、税制改革を行い、住宅などに関する支援政策を打ち出し、結婚、育児、教育などを一体に考え、女性が子供を産みやすい環境、夫婦が子供を育てやすい環境を作り上げるという。

 ただ、日本をはじめ先進国も、程度の差はあれ同じような政策を打ち出しており、対策を講じているものの、思ったような成果が表れていないのが現状だ。

 労働力として農家が子供を必要とした時代はとっくに過ぎ去っている。中国でも家系の概念は薄れており、両親が跡取り息子を望むといった風潮も薄れている。

 子供を育て上げるには多額の資金が必要となる上、20年前後にもわたる長い養育期間が必要だ。さらに、親には法律上、養育の義務が生じる。満足度の最適化を合理的に考えれば、子供は一人か、せいぜい二人で十分と判断するケースは少なくないかもしれない。

 中国では出生率が低下する一方で、ペット産業が急成長を続けている。ペット購入の動機としては、高齢者が寂しさを紛らわすために購入するほか、ストレスの多い生活を強いられる若者がやすらぎを求めて購入するケースが増えている。子供は育ててみたいが、生んでしまえば人生において大きなリスクを背負うことにもなる。それに比べ、ペットはずっと気楽に育てることができる。そう考えてペットを飼いはじめる若者が増えているようだ。

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