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【日本株週間見通し】上値の重い日経平均、今週は個別株物色が中心?

先週の日経平均は上値の重い展開が目立った

先週の日経平均は上値の重い展開が目立った

 投資情報会社・フィスコが、株式市場の6月28日~7月2日の動きを振り返りつつ、7月5日~7月9日の相場見通しを解説する。

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 先週の日経平均は軟調となった。週後半の米ISM製造業景況指数や週末の米雇用統計など、経済指標を前に様子見ムードが継続し、総じてこう着感の強い動きが続いた。

 週初はバイデン米大統領選が掲げるインフラ計画の法制化に向けた進展が支えとなったものの、日本独自の株高材料が見当たらないなか、29000円を明確に超えられない上値の重さが目立った。また、米インフラ計画の早期成立に対して懐疑的な見方が出ると、支援材料もなくなり、29日からはヘッジファンドなど短期筋による先物主導の売りが見られるようになり、水準を切り下げる展開が続いた。30日も結局、月末最終営業日の株安アノマリーを完全には払拭できず3日続落。

 月替わりで7月に入ってからもムードはほとんど変わらなかった。オリンピック開催に向けての国内での新型コロナウイルス感染第5波なども懸念されるなか、海外勢の先物売りも続き、1日には28000円台半ば近くまで下げる場面も見られた。週末は、米雇用統計を直前に売り方の買い戻しが入り、反発したが、朝方の買い一巡後はじり安となり、戻りは限定的となった。

 今週の日経平均は上値の重い展開か。日本独自の株高材料に乏しいなか、引き続き米長期金利や米株式市場の動向を睨んだ展開となりそうだ。週初は、前の週末に発表された6月米雇用統計を受けた米株式・債券市場の動きを映した動きとなろう。また、週初5日の米株市場が独立記念日で休場となるため、雇用統計の消化には時間がかかりそうな点に留意したい。そのほか、7月前半の週には上場投資信託(ETF)の分配金捻出のための換金売りという需給要因の重しもある。主要なETFの決算日は8日、9日に集中しており、今年は全体で8000億円規模の売りが想定されている。需給悪化から全体的に軟調な動きが予想される。

 一方、米国での金融政策を巡る思惑には過度な警戒は不要とみている。前回の米連邦公開市場委員会(FOMC)の結果が想定以上にタカ派だったとはいえ、米連邦準備制度理事会(FRB)が量的緩和縮小(テーパリング)の本格的な議論を開始するのは早くても8月のジャクソンホール会合とみられている。パウエルFRB議長も、6月下旬に行われた連邦議会下院での議会証言の際には、「秋には力強い雇用創出がみられるだろう」と話している。これは、秋頃までの雇用指標を確認するまでは拙速な判断を避けるとの考えを暗に示していると考えられる。秋頃の雇用指標となると、早くて9月3日発表の8月分の雇用統計だろう。これを確認した後の9月のFOMCで早ければテーパリングが正式に決定される。

 そのため、それまでの間は市場も憶測するしかないが、これまでの各連銀総裁の発言の経緯から、FRB内でも意見がまとまっていないことは明らか。内輪で決まっていないことを、あれこれと余所者が考えても結果が出ないのは道理で、投資家が一方向に予想を傾けることは難しい。それ故、株式市場の見通しにも強気派と弱気派が混在するため、結局、売り方と買い方が拮抗するなか相場は上値が重いながらも底堅い基調を保つと予想する。

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