田代尚機のチャイナ・リサーチ

東京五輪の“便乗商法”でにぎわう中国ネットショップの商魂

卓球女子シングルスで金メダルを獲得した陳夢選手の「我的時代到来了」発言は中国で大きく注目された(写真/代表撮影・雑誌協会)

卓球女子シングルスで金メダルを獲得した陳夢選手の「我的時代到来了」発言は中国で大きく注目された(写真/代表撮影・雑誌協会)

 東京オリンピックが8月8日に閉幕した。新型コロナ対策のためにビジネスチャンスが縮小し、意気消沈している日本企業は多い。そうした中で、ビッグイベントを上手く商売に結び付けている中国企業の商魂たくましさを紹介しよう。

 今大会金メダル第1号となった射撃女子10メートルエアライフルの楊倩選手。あどけなさの残る21歳の彼女の髪には、子供向けのお風呂のおもちゃとして浴槽に浮かべて遊ぶ小さな黄色いアヒルをモチーフとしたバレッタがしっかりと固定されていた。

 その様子が競技、または金メダル授与式、勝利者インタビューなどを通じて中国全土に伝えられるとすぐさま、目ざといネットショップの経営者たちがこの絶好のチャンスに飛びついた。金メダル獲得から1時間後には、十分な在庫を押さえた上で目立つ形で販売を開始。そこから多くのショップが記録的な売上を達成したという。

 8月7日付「The Paper」などによれば、中国のECサイト「タオバオ」で、7月24~30日における「楊倩選手が試合中に着けていたのと同じアヒルのバレッタ」の1日あたりの検索回数は、それ以前と比べて4237.37%増加、同じく試合中に使っていた「留め具がニンジンの形をしたヘアゴム」は2115.67%増加した。多くのネットショップが楊倩選手のコーナーを設けて積極的な販売活動をしたことで、タオバオ内でこのバレッタとヘアゴムをセットにした商品の販売量は1万件を超えたそうだ。

 選手たちの“発言”がそのまま商売のネタになるケースもある。

 たとえば卓球女子シングルス決勝で宿敵の孫穎莎選手を破り金メダルに輝いた陳夢選手が勝利者インタビューで口にした「我的時代到来了(わたしの時代がやってきた)」をプリントしたTシャツ、卓球男子シングルス準決勝でドイツのオフチャロフにフルセット、第7ゲームも9-11の接戦となった試合を制した馬龍選手が試合直後に叫んだ「他ying(勝を意味する日本語にない字)不了我(彼は私には勝てない)」をプリントしたキャンバストートバッグなどは、すぐにネットショップで販売され、人気を博している。

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