ビジネス

ライオン社長 コロナ禍で男性が家事に参加しやすくなる商品を提案

浴槽に吹きかけ、60秒待って流すだけでOKの「ルックプラス バスタブクレンジング」

浴槽に吹きかけ、60秒待って流すだけでOKの「ルックプラス バスタブクレンジング」

──社運を懸けた決断が成功したわけですね。

掬川:根拠がなかったわけではありません。当時、食器洗い用洗剤はほぼ全量が液体になっていましたが、その主なプレーヤーは花王さん、P&Gさん、そして当社くらいでした。

 洗濯用洗剤においては、粉末洗剤に比べて液体洗剤は新規参入が容易で競争が激しくなるという意見もありましたが、すでに液体が主流になっていた食器洗い用洗剤でも主なプレーヤーは当社を含む3社で、この意見は必ずしも的を射ているとは思えず、むしろ液体へのシフトを早めれば早めるほど、市場を確保できるとの計算がありました。

男性が家事に参加しやすくなる

──ライオンといえば、多くの人はハミガキやハブラシを連想します。

掬川:当社の最重点カテゴリーがオーラルケアであることは、現在、過去、そして将来も変わりません。近年、口内環境が全身の健康に影響を及ぼすことが広く知られるようになりました。お口の健康状態を高いレベルで維持していくということは、健康寿命延伸のために重要であると考えています。

──ハブラシの「システマ」 は、20年間にわたってナンバーワンブランドだそうですね。

掬川:「システマハブラシ」は、東レさんと共同開発の特別な処理を施した毛先(超極細毛)で、歯周ポケット(歯と歯ぐきのすき間)の歯垢をかき出すことに適したハブラシです。

「システマ」は、ブランド創設以来、歯周病ケアの重要性を一貫してお伝えしてきました。「システマ」というブランドを通じて、歯周病ケアを意識した磨き方などを生活者に受け入れていただけたことが、マーケティング的にも大きかったと思います。

──生活用品では、浴槽に吹きかけ、60秒待って流すだけでOKの「ルックプラス バスタブクレンジング」が大ヒットしました。

掬川:特徴的なのは、この商品が男性の方から支持されたことですね。共働き世帯が増え、家事の分担は当たり前の時代ですが、男性の“家事リテラシー”は一朝一夕には女性に追いつきません。そうすると夫が家事を分担しても、そのクオリティーに妻が不満を抱き、「私がやったほうが早くてキレイ」という軋轢も生じてしまいがちです。

 そうした中での「ルックプラス バスタブクレンジング」のヒットは、共働き時代のニーズを掘り起こしたマーケティングの妙もあったと思います。

──コロナ禍での在宅ワーク推進で、夫婦揃って自宅で過ごす時間が増えた。

掬川:食器洗いも「夫にやってほしい家事」の上位に挙がりますが、男性がやるとパフォーマンスが良くなかったりかえって片付けが増えるなど、家事ストレスになることもあります。

 そこで食器洗い用洗剤「チャーミーマジカ」では、洗い始めから油汚れがサラサラ落ちて、手早くキレイに洗い上がるよう設計しています。男性が家事に参加しやすくなる商品を、これからもご提案したいですね。

注目TOPIC

当サイトに記載されている内容はあくまでも投資の参考にしていただくためのものであり、実際の投資にあたっては読者ご自身の判断と責任において行って下さいますよう、お願い致します。 当サイトの掲載情報は細心の注意を払っておりますが、記載される全ての情報の正確性を保証するものではありません。万が一、トラブル等の損失が被っても損害等の保証は一切行っておりませんので、予めご了承下さい。