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金融庁 みずほ銀行に「検査継続しながら業務改善命令」の異例ずくめ

前例のない対応に踏み切った金融庁の狙いは?(時事通信フォト)

前例のない対応に踏み切った金融庁の狙いは?(時事通信フォト)

 一体何度、システム障害を繰り返したら気が済むんだ――みずほ銀行のメガバンクとは思えない問題の続出に業を煮やした監督官庁が、ついに前代未聞の対応に打って出た。就任してわずか2か月あまりの“異色の経歴”を持つ中島淳一・金融庁長官の手腕を、業界は固唾を飲んで見守っている。

 みずほ銀行の相次ぐシステム障害を受け、金融庁は9月22日、同行と持ち株会社のみずほフィナンシャルグループ(FG)に業務改善命令を出した。

 しかも同行が自ら障害の原因を解明できていないことを受け、金融当局が実質的にシステムの管理に乗り出す――極めて異例の対応だと報じられ、金融関係者から驚きの声が上がる。経済ジャーナリストの森岡英樹氏の指摘だ。

「40年近く金融の世界を見てきましたが、金融庁が、銀行のあらゆる情報を司る中枢であるシステムを“公的管理”するなんて聞いたことがありません。当局がそれだけ、問題を深刻に捉えているということでしょう」

 みずほ銀行は今年に入ってから、8回ものシステム障害を起こしている。1回目となった2月28日には、全国のおよそ8割のATMが停止して利用客のキャッシュカードや預金通帳がATMに飲み込まれ、大混乱を招いた。その後、3月にもATMなどで3件の障害が発生。これを受けて金融庁は立ち入り検査を進め、その検査結果を通知しようとしたタイミングで、8月20日には全店の窓口が取引不能に陥る。同23日にも一部のATMが一時使用不能になり、さらに9月8日にもATMの障害が生じたのである。

 金融機関でシステム障害などが起きた場合、金融庁が検査で原因の解明を進め、その結果に基づいて行政処分を下すのが通例だ。しかし、今回は全容解明が終わっていない段階で、検査を継続しながら業務改善命令を下すという異例ずくめの展開となった。

 金融庁が銀行のシステム管理に乗り出す“公的管理”となれば、前例のない対応だと話題になっているのだ。

「年内に控えるシステム更新などの際に障害が再発する懸念もあって、金融庁が管理に携わりながら、原因の究明にあたることになった。引き続き立ち入り検査も続け、その結果などを踏まえてさらなる行政処分を下すことも視野に入れているとされます」(森岡氏)

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