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法整備されぬ卵子提供 「出自を知る権利」は当事者に委ねられることも

子供の「出自を知る権利」はまだ議論中(提供/共同通信社)

子供の「出自を知る権利」はまだ議論中(提供/共同通信社)

 不妊、晩婚、LGBTQ──。「子供を持ちたくても難しい」という人たちへの救いの手となっているのが、卵子や精子の提供だ。そして、卵子・精子提供に関わる「生殖ビジネス」は国内でひそかに乱立。“自分の卵子を売る”というビジネスは、何年も前から存在しており、なかには、多額の報酬をもらえてタダで“卵子提供旅行”に行けることを売りにしている営利目的の業者も見られるという。

 そうした中で日本で唯一、無償での卵子提供仲介を行っているのが「OD-NET」だ。OD-NETでは、無償で卵子の提供者となる人を募り、国内の不妊専門クリニックで提供卵子による体外受精の実施を支援している。

 日本生殖補助医療標準化機関のガイドラインに沿って、年齢のほか、血液検査によって健康状態や感染症の有無などを充分に調べたうえで、適性のある人のみ登録できる。

 最も徹底しているのは、卵子提供者、つまり、ドナー登録者へのカウンセリングで、これは生殖心理専門の臨床心理士が行う。「OD-NET」理事長の岸本佐智子さんが言う。

「私たちは、生まれてきた子の『出自を知る権利』が最も大切だと考えています。自分が卵子提供で生まれた子供だということはもちろん、将来その子が望めば、ドナーがどんな人かも知ることができるよう、ドナー登録をする前に、将来的に名前や住所などの情報を開示する可能性があることを丁寧に伝えています。現在、392人からドナー登録の問い合わせがありますが、出自を知る権利について同意いただけない場合は、お断りしています。

 もちろん、子供が望まなければ情報は伝えませんし、出自を知る権利があるからといって、子供が突然ドナーのもとを訪ねるようなことはありません。卵子提供者の権利も守られるべきだからです」

 台湾やベルギーなどでは、こうした方法で生まれた子の出自を知る権利は認められていない。つまり、もし、あっせん業者を介して台湾で卵子を採取した場合、生まれた子が自分の出自を知りたいと思ってもドナーの情報の登録自体がなく、知る手立てがない。日本国内では、非配偶者間人工授精(以下、AID)によって生まれた当事者が国会に提言するなど、出自を知る権利を守る方向へと、少しずつ世論は動いている。

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