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田代尚機のチャイナ・リサーチ

ゼロコロナ政策いつまで… 五輪後も続く北京住民たちの“憂鬱な日々”

北京市内に設置されたマスコットの前で記念撮影する人たち(時事通信フォト)

北京市内に設置されたマスコットの前で記念撮影する人たち(時事通信フォト)

 2月4日から北京冬季オリンピックが開催される。中国では1月31日から春節休暇が始まっていることもあり、北京の住民たちはさぞかし大きな高揚感に包まれているのではないかと想像するかもしれないが、住民たちの声を聞く限り、どうもそんな雰囲気ではないようだ。

 筆者が北京に住む20代後半の知人たちに「冬季オリンピックに出場する選手の中で、最も人気のある選手は誰か」と聞いてみたところ、有名選手の名前はおろか、出場する選手の名前を一人も挙げられない者もいた。

 中国代表選手の多くは、日米欧諸国のように商業ベースに乗って活動しているわけではない。だから、よほどのファンでない限り、選手の名前はほとんど知らないのだという。かすかに、アメリカ代表の男性フィギュアスケート選手(ネイサン・チェン:陳巍)の存在を知っているぐらいであった。

 中国では日本のようにウィンタースポーツがテレビで放映されたり、マスコミに大きく取り上げられたりすることはほとんどない。日本のように生活の中にスポーツが根ざしているわけではないことが要因であろう。

 それでも、雪上射撃や、フィギュアスケート、スノーボード、ジャンプなどの競技があることは知っていて、一般の人がやらないスポーツについては見てみたいそうだ。

 一方、新型コロナウイルス感染拡大を受けて、アイスホッケー・NHLのスター選手が不参加であること、開会式に出席する要人は、ロシアのプーチン大統領を始め、イスラム教徒の多く住む旧ソ連・中央アジアの国々、中東の国々などのトップに限られることなどは知っていた。

 国営テレビのニュースなど滅多に見ない若者も、ネット上のニュースは日常的に見ている。政治に関する詳細な情報はネット上でも広く拡散されており、彼らもそうした内容についてはしっかりと把握している。

 ちなみに、筆者が話を聞いた若者たちの愛国心はそれほど強くないようで、中国が幾つ金メダルを獲得するかなどには興味はないそうだ。

 今、北京の住民がもっとも気にかけているのは、「ゼロコロナ政策が今後さらに強化されるかどうか」である。ゼロコロナ政策がしばらく続くだろうという見込みから来る閉塞感は非常に大きい。

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