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権利意識に敏感な団塊世代が後期高齢者に 患者の要求高く医療逼迫に拍車も

2025年以降、医療従事者の人手不足はますます深刻に(イメージ)

2025年以降、医療従事者の人手不足はますます深刻に(イメージ)

 2025年に日本社会は大きな転換点を迎える。「団塊の世代」の約800万人が後期高齢者となり、国民の「5人に1人」が75歳以上、65歳以上は人口の3割を超える超超高齢社会に突入する。

 コロナ禍で直面した「医療崩壊」は2025年以降、さらに顕著になる。まず避けられないのが、医師や看護師ら医療従事者の人手不足だ。

 2019年の厚労省推計では、医師不足のピークは2024~2030年に訪れるとされる。2024年時点で、内科医は約1万4000人、外科医は約5800人が不足するという。

 女性が約9割を占める看護師や保健師、助産師などの看護職員も同様で、同省の推計では2025年に最大27万人が不足するとされる。訪問診療・訪問リハビリテーションを手掛ける心越クリニックの岩間洋亮院長はこう指摘する。

「現状でも、医療現場のマンパワー不足は極めて深刻です。例えば看護師の有資格者は年々右肩上がりで数が増えている半面、離職率が高く、病院勤務の看護師は年間10%が離職すると言われています。資格を持つ人は増えても、実際には人手不足が進行しており、2025年以降は状況がさらに悪化すると見ています」

 患者やその家族を相手にする看護職は、感情を抑えて我慢や忍耐を強いられる“感情労働”と言われる。そうした職務の特性から、「職場環境」は過酷だ。

 看護職の職能団体である日本看護協会の調査(2017年)では、看護職の半数以上が職場で暴力やハラスメントを受けたことがあると回答した。勤務場所は病院だけでなく訪問看護ステーションや介護施設なども含まれるが、職員が受けたセクハラや暴力は、患者からのケースが圧倒的に多い。

「団塊の世代が後期高齢者となり医療サービスを受ける機会が増す2025年以降は、さらに注意が必要です。核家族化が進行したこの世代は、具合が悪くなればすぐに病院を頼る流れができている。ニーズが増えるうえに、団塊世代以降は権利意識に敏感で、『患者さま』として振る舞うため医療従事者への要求も高いと感じます。医療機関がそれに応えるためには十分な人手が必要になるため、さらなるマンパワー不足の一因になることも予想されます」(岩間院長)

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