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食品の産地偽装の代表格は「うなぎ」 中国産を国産に変えれば倍の利益に

押収された中国産のうなぎのかば焼き。パッケージには「国内産」のシールが(2020年、大阪/共同通信社)

押収された中国産のうなぎのかば焼き。パッケージには「国内産」のシールが(2020年、大阪/共同通信社)

「熊本産」と偽って中国産や韓国産のあさりが販売されていた「産地偽装」が明らかになり、大きな波紋を呼んだ──。私たち消費者は、パッケージの表示を信じて買い物をする。なぜ消費者の信頼を裏切って産地偽装が行われるのかというと、莫大な儲けにつながるからだ。消費者問題研究所代表の垣田達哉さんが説明する。

「あさりのkg単価は熊本産ならば600円程度ですが、外国産なら200円程度。その差は1kgあたり400円にもなる。産地を偽って販売したことで、100億円もの“利ざや”が稼げたといわれています」

 産地シールを1枚貼るだけで、手っ取り早く儲けられるというわけだ。同様の偽装はさまざまな品目で行われているが、効率よく儲けを出すため、ターゲットとされやすいのは内外価格差の大きい品目だという。食品ジャーナリストの郡司和夫さんが話す。

「現在、国内で産地偽装が疑われている食品は、中国産を日本産と偽るケースがほとんど。国内産と中国産の価格差が最も開いているからです。今後、新たに事件が表面化する可能性が高いのは、儲けが大きいとわかっている食品。つまり、過去に産地偽装が発覚した食品ほど、繰り返しターゲットになる恐れがある。生産から流通まですべてのルートを記録するトレーサビリティ法ができた牛肉も、不正がないとはいえません」

 日本人が大好きな高級魚である「うなぎ」は、産地偽装の代表格だ。中国産のうなぎを国産と偽って販売した事件は数え切れないほどある。

 今年1月31日、奈良県大和高田市に本店を置く食品販売会社「うな源」が、中国産のうなぎを日本産と偽り販売していたことが明るみに出た。店舗や通販などで約16万個販売したという。2021年には岐阜県の業者が、2020年には大阪府のうなぎ問屋が同じく中国産うなぎを国産と偽装した事件が報じられている。

 うな源の社長は、「中国産は身が大きくてやわらかく、客の評判がよかった」などと話しており、実際に食べても消費者には違和感がなかったようだ。

「中国産のうなぎは、国産の半値程度で仕入れることができます。産地偽装すれば倍の利益を生み出せる。さらに、うなぎも最近は通年商品になって年がら年中スーパーに並んでいますから、大量に売ることができる。季節感のない食品は利益が大きいため偽装されやすいのです」(垣田さん)

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