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ふるさと納税返礼品、地元住民の思いを踏みにじる名産品の“産地偽装”問題

地元の名産品だと思っていたら、まったくの嘘だった?(イメージ。Getty Images)

地元の名産品だと思っていたら、まったくの嘘だった?(イメージ。Getty Images)

 遠方への旅行が困難になったコロナ禍、全国各地の返礼品をもらえるふるさと納税制度が、ますます盛り上がっている。2021年度、東京23区からは、実に計540億円以上が寄付された。

 だが、そんなムードに冷や水を浴びせるような事件が発生した。産地偽装を行っていたうなぎのかば焼きが、奈良県大和高田市のふるさと納税の返礼品に使われていたのだ。同市は返金を希望する申込者に、納税分全額を返金すると発表している。

 ふるさと納税返礼品の産地偽装は、3年前にもあった。2019年8月、岩手県八幡平市は、地元で採れる「岩手山まつたけ」を返礼品としていたが、実際に申込者のもとに届けられた一部は県外産のまつたけだったことがわかった。

 岩手県警からの情報によって事件が発覚し、市からふるさと納税業務の委託を受けていた業者2名が逮捕、うち1名は起訴されて現在も裁判中だという。

 八幡平市は、偽装が発覚してすぐにふるさと納税制度をストップ。2021年度から新たな委託業者が運営しているが、まつたけに関しては市が管理している。収穫者を明確にし、収穫数に応じた受けつけや、不作だった場合の対応の明記など、地元のまつたけの品質を守るために取り組んでいると話す。

 事件当時、八幡平市の市長だった田村正彦さんはこう振り返る。

「八幡平市がふるさと納税を始めたのは2017年6月からでした。返礼品は地元の農作物などで、最も人気だったのがまつたけです。しかし、まつたけが不作で、収穫量が足りませんでした。初年度は委託業者から報告があり、寄付してくださったかたには別の返礼品をお送りするか、翌年までお待ちいただくか、希望を伺って了解を得てもらいました。

 ですが、翌年は何の報告もないまま、申込者への了解も得ず、県外産のまつたけを岩手山まつたけとして発送していた。市が把握したのも、事件発覚後でした」

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