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「繰り下げても年金が増えないなんて…」 4月“年金大改正”の思わぬ落とし穴

 そもそも、サラリーマンの年金は「基礎年金」と「厚生年金(報酬比例部分)」の2階建てとなっており、それぞれ別々に繰り下げるかどうかを選べる。基礎年金は働きながら受給しても年金カットの対象外で、繰り下げ受給すれば確実に割増しを受けられる。

 問題は「報酬比例部分」のほうである。こちらを繰り下げた場合、その間にいくら給与収入を得ているかで、繰り下げによる増額の幅が変わってくるのだ。

「たとえば65歳時点で『報酬比例部分が月額10万円』の人が繰り下げを選んだ場合について考えましょう。その人が65歳以降に『月給37万円』で働く場合、繰り下げた10万円との合計は47万円で、カット基準を超えない。そうしたケースでは、70歳まで繰り下げると42%増の月額14.2万円の報酬比例部分が受け取れます。

 ところが、それが『月給47万円』になると繰り下げた年金との合計は57万円。基準を10万円オーバーして、5万円分の年金がカット対象になる。その部分はたとえ年金を繰り下げても割増しを受けられない。そのため、70歳まで繰り下げても5万円分はそのまま、残りの5万円分だけが42%増(7.1万円)となり、報酬比例部分は月額12.1万円にしかならなない。さらに、『月給57万円』の場合は、報酬比例部分の年金10万円が全額カット対象になるため、70歳繰り下げを選んでも年金額は一切増えず10万円のままなのです」(前出・ベテラン社労士)

 さかんに“お得”と喧伝される繰り下げ受給だが、人によっては繰り下げても一切増えないケースがあるというのだ。年金制度は複雑極まりなく、性別や生年月日によって恩恵が受けられるか変わってくる制度もある。

 3月28日に発売された『週刊ポストGOLD 新 得する年金』では、専門家の解説をもとに数多くにシミュレーションを提示するなどして、多様な対応策を紹介している。また、今回の制度改正の内容も詳しく解説。自ら制度を学んで、老後資産をしっかり守っていきたい。

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