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事故で通院中に保険会社が「治療費は来月から自費で」と宣告 交渉の余地はある?

医者には「完治するまでにあと数か月は治療が必要」と言われているのに…(イラスト/大野文彰)

医者には「完治するまでにあと数か月は治療が必要」と言われているのに…(イラスト/大野文彰)

 事故に遭って通院中、保険会社から「治療費は来月から自費で払ってください」と言われてしまった……。こんなときは、治療費を保険会社に負担してもらうことはできないのだろうか。実際の法律相談に回答する形で、弁護士の竹下正己氏が解説する。

【相談】
 2か月ほど前に追突事故に遭い、首と腰に痛みが出たため病院へ通っています。当初は保険会社から治療費が出たのですが、「まだ治療が続くようなら来月からは自費で払ってください」と保険会社から連絡が来ました。しかし、医者は「完治するまでにあと数か月は治療が必要」と言っています。この先も治療を続ける場合、保険会社から治療費をもらうことはできないのでしょうか。(栃木県・55才・アルバイト)

【回答】
 治療費が保険会社から直接病院に支払われていたのは、自賠責保険と任意保険の支払いを一括して受ける「対人一括払制度」によるものです。これは、人身交通事故に対応して自賠責保険と任意保険がありますが、2つを1つの保険として処理し、二度手間を省き、任意保険会社が自賠責保険部分を含めて一括して支払った後に、自賠責保険部分を自賠責保険会社から回収する制度です。

「来月から支払わない」というのは、自賠責保険からこれ以上の治療費の支払いがないからだと思われます。自賠責保険による保障の対象には、傷害による損害と後遺症による損害があり、それぞれ保障の限度額が定められていますが、前者の保障限度額は120万円です。限度額を超えると後遺症がない限り、自賠責保険からの支払いはありません。

 2か月の通院治療で治療費が120万円の保障限度額になったとしても、任意保険分があるので120万円の限度は絶対的ではありません。保険会社と交渉する余地があります。120万円に達していなければ、保険会社が治療費に疑問を持っていると思われます。治療費に対応する保険金は、交通事故による傷害の治療に要した必要かつ妥当な実費に対して支払われるからです。

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