田代尚機のチャイナ・リサーチ

世界経済の波乱要因「中国のゼロコロナ政策」は今後さらに厳しく、秋まで継続必至

習近平氏は、政治的にゼロコロナ政策をさらに厳しく実施する方針(Getty Images)

習近平氏は、政治的にゼロコロナ政策をさらに厳しく実施する方針(Getty Images)

市場コンセンサスは「秋の共産党大会まで続く」

 いつまで続くのか。

 アジアオリンピック評議会は6日、杭州市において9月10~25日の日程で開かれる予定であったアジア大会を2023年に延期すると発表した。延期理由は新型コロナウイルスの感染拡大である。

 ゼロコロナ政策は、秋に実施される第20回全国共産党大会まで続くだろうというのが市場関係者たちのコンセンサスだ。少なくとも、夏に開かれると予想される、最高指導者メンバーによる北戴河での非公式会議までは、この方針に修正が加えられる可能性は極めて低いのではないか。

 今後は中央で決められたこの大方針が、省クラス、郷鎮クラス政府へと浸透していく。経済への悪影響は避けられない。

 一方、4月29日に開かれた中央政治局会議では、当面の経済運営方針が検討され、5.5%前後の成長を目指すといった目標が堅持された。

 ゼロコロナ政策を強化した上で5.5%前後の成長を目指すとすれば、内需拡大、特に即効性のあるインフラ投資や、不動産投資を拡大させること、あるいは年後半の行楽シーズンを目途に国内のリベンジ消費をフルに喚起させることなどが考えられるが、やれることは限られよう。

 2020年における中国の輸出依存度は16.95%で世界第117位である。中国経済は既に内需主導型経済に移行している。結局、輸出にしわ寄せが及ぶのではなかろうか。

 ゼロコロナ政策はすでに政治化しており、硬直的な政策となっている。中国のコロナ対策は今後の国際マーケットにおいて、大きな波乱要因となりそうだ。

文■田代尚機(たしろ・なおき):1958年生まれ。大和総研で北京駐在アナリストとして活躍後、内藤証券中国部長に。現在は中国株ビジネスのコンサルティングなどを行うフリーランスとして活動。ブログ「中国株なら俺に聞け!!」(https://www.trade-trade.jp/blog/tashiro/)も発信中。

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