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JTに続いてオリックスも株主優待廃止の衝撃 今までの他企業の優待廃止とはワケが違う

業績が悪化したわけでもないのに株主優待廃止に踏み切ったのはなぜ?(写真/AFLO)

業績が悪化したわけでもないのに株主優待廃止に踏み切ったのはなぜ?(写真/AFLO)

 個人投資家に激震が走った──。株主優待ファンに大人気銘柄のオリックス(8591)が、5月11日に2022年3月期の決算を発表し、同時に「2024年3月末をもって株主優待を廃止する」と発表したのだ。

 オリックスの個人株主は約75万人で、その数は国内でも有数とされる。ここまで人気を集めた理由は、なんといっても株主優待だ。オリックスの各地方拠点の社員たちが厳選したというご当地グルメや雑貨などを集めたカタログから好みの品を選択できる「ふるさと優待」で、2015年の開始以降、個人株主をどんどん増やしてきた経緯がある。優待開始前の2014年3月末の個人株主数は4.5万人だったというから、いかに優待効果が大きかったかがわかるだろう。

 なにしろ最低単元の100株を保有するだけで、定番の肉やカニ、米、海産物や加工食品、菓子などはもちろん、家電や雑貨などバラエティ豊かな内容のギフトが受け取れる。しかも、3年継続保有すれば選べる品がさらにランクアップすることから、家族全員で証券口座を開設してそれぞれがオリックス株を保有する“工夫”も、優待ファンの間ではよく知られていた。

 人気の株主優待の廃止というと、2022年2月にJT(2914)が、米やカップ麺を贈っていた株主優待を2023年の発送分を最後に廃止すると発表したばかりだ。この発表を機に同社の株価はいったん下落したが、現在は持ち直している。

 オリックスとJTの優待廃止発表を取り巻く状況には、似ている点が3つある。第1が、これまで優待だけでなく高い配当利回りでも支持を集めていた点。第2が、優待を廃止するかわりに配当を充実させるとしている点。そして第3が、優待廃止と同時に公表した決算は堅調で、従来の優待廃止の背景によくみられる明らかな業績の悪化は見られない点だ。今後は株主還元を配当に集約するというので増配の可能性も期待されるだろう。

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