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相続手続きでの行政書士の役割 遺言書作成から相続人調査、財産調査まで

 ただし、行政書士は紛争には関与できない。あくまで「予防法務」の専門家であり、相続関連の手続きでは残された家族や親族がもめないための「遺言書作成」のほか、遺言がない場合は死後の「相続人調査」「相続財産調査」で大きな役割を果たす。

 それらの調査は相続手続きの基本となるが、馴染みのない用語が多出する戸籍などを一般人が正確に読み取っていくのは一苦労。時間と手間がかかるだけでなく、時に専門的な知識も必要となるため、行政書士に依頼する人は多い。行政書士・千田大輔氏が言う。

「まずは相続手続きのあらゆる場面で必要となる戸籍謄本、除籍謄本、改製原戸籍謄本などを本籍地の役所に請求することから始まりますが、遺言書がない場合は被相続人の出生から亡くなるまでの連続した戸籍が必要になり、その収集が大変骨の折れる作業です。戸籍謄本を辿って調べる際に、隠し子の存在が判明するケースや、遺族が知らない事実が出てくることもあります」

 被相続人が何回も本籍地を変えていると、複数の市町村役場に戸籍謄本を依頼しなければならず、手続きはさらに煩雑になるという。

「相続は相続人全員の足並みを揃える必要があるので、最初の戸籍収集と戸籍の内容確認に見落としがあってはいけません。相続人が1人でも欠けた遺産分割協議は法的に無効となり、せっかく合意に至っても意味がなくなるので細心の注意が必要です」(同前)

 相続人調査は、行政書士に依頼することで、必要な戸籍の収集から、相続関係を一目で分かるように図式化した「相続関係説明図」の作成まで一任できる。費用は行政書士事務所によってまちまちだが、概ね3万円程度で依頼できるので、メリットは大きいと言えそうだ。

※週刊ポスト2022年7月1日号

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