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安倍晋三氏の「相続問題」、相続税評価額は2億~3億円か 東京の豪邸は持ち分なし

安倍晋三氏の相続税評価額は、少なくとも資産公開額の2倍から3倍になるといわれる(時事通信フォト)

安倍晋三氏の相続税評価額は、少なくとも資産公開額の2倍から3倍になるといわれる(時事通信フォト)

 安倍晋三・元首相の「国葬」が9月27日に行なわれることが決まり、実弟の岸信夫・防衛相は「親族としてはこれは名誉なことだと思う」と語った。だが、残された遺族にとって悩みの種となりそうなのが相続問題だ。

 国会議員の資産公開によると、安倍氏名義の資産は、選挙区である山口県下関市の敷地約1000坪、延べ床面積633平米の邸宅をはじめ、安倍家が代々庄屋を務めていた長門市油谷の多くの土地や40万平米を超える山林、山梨県鳴沢村の別荘(建物のみ)、さらに2478万円の定期預金や株、ゴルフ会員権(6口)など総額1億円超となっている。

 ただし、資産公開では不動産は実勢価格よりかなり低くなる固定資産税課税標準額で評価し、普通預金は公開対象ではないなど、金額は資産価値を正確に反映していないとされる。相続に詳しい山本宏・税理士が語る。

「所有地の個々の固定資産税課税標準額などが不明なため、資産額を細かく算出するのは困難ですが、安倍氏の遺産の相続税評価額は、少なくとも資産公開額の2倍から3倍、2億~3億円にはなると推測されます」

 安倍氏夫妻には子がなく、94歳の母・洋子さんが存命だ。そのため、法定相続人は昭恵夫人と洋子さんの2人になる。山本氏が続ける。

「遺産の分け方は、遺言書があればそれに従って分け方を決め、遺言書がなければ法定相続人全員での話し合いで分け方を決めるというのが基本です。夫が亡くなって夫婦に子(相続順位1位)がない場合には、配偶者と、存命であれば相続順位2位である故人の親が法定相続人となる。遺言書がない場合を前提に安倍氏のケースに当てはめると、法定相続分通りなら配偶者の昭恵氏が遺産の3分の2、母の洋子氏が3分の1を相続することになります。ただし、法定相続分はあくまで目安なので、相続人全員(昭恵氏と洋子氏)が納得すればどのような分け方をしても問題はありません」

 意外だったのは、遺産に東京のものが一つもないことだ。

 安倍氏といえば、渋谷の高級住宅街・富ヶ谷の「資産価値20億円」といわれる豪邸がよく知られている。だが、登記簿謄本によると、敷地は洋子さんと安倍氏の兄・寛信氏の共同名義、建物は1階と地下を洋子さんと寛信氏が持ち、安倍夫妻の居宅がある2~3階部分と賃貸マンション部分は洋子さんの所有だ。安倍氏の持ち分はなかった。

※週刊ポスト2022年8月5・12日号

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