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日本企業で「役員報酬1億円超えの女性」16人、その「素顔」と「履歴書」【後編】

39歳で常務を務めるリクルートHD・瀬名波文野氏

39歳で常務を務めるリクルートHD・瀬名波文野氏

 7月13日に世界経済フォーラムで発表された「ジェンダーギャップ報告書」で、日本は146か国中116位、先進国では最下位だった。だが、日本の男女格差がなかなか埋まらないなかでも、多額の報酬を受け取るキャリアウーマンや数百億円もの資産を持つ女性たちがいる。

 令和の日本企業で、高い評価を受け、高額報酬を受け取る女性はどのくらい存在するのか、東京商工リサーチの協力のもと調査した。2021年度(2021年4月期~2022年3月期)の有価証券報告書によれば「役員報酬1億円以上」は915人。そのうち女性はわずか16人だった。

 1位は電通グループ取締役のウェンディ・クラーク氏(51、16億7800万円)、2位はオービックの野田みづき元相談役(87、3億6100万円)、3位は日本マクドナルドホールディングス(HD)代表取締役会長のサラ・L・カサノバ氏(57、2億6000万円)。以下、令和の「女性大富豪」たちの実像に迫った──。【前後編の後編。前編から読む

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 4位には39歳の若さで常務を務めるリクルートHDの瀬名波文野氏(2億5700万円)。

 沖縄出身の瀬名波氏は2006年の入社後、営業職としてキャリアを積み、入社7年目には同社が買収した英人材派遣会社の経営立て直しのための駐在員募集に手を挙げ、単身渡英。だが瀬名波氏は当時、英語力や金融の知識など赴任の条件をほとんど満たしていなかった。

 にもかかわらず、赴任後1年半で現地法人2社の社長を任されることに。現地で日本人は瀬名波氏ただ一人だったという。

 2018年、同社最年少で執行役員に就任した際に社内向けのメッセージ(2月配信)で瀬名波氏は当時をこう振り返っている。

〈イギリスのしんどかった3年半という時間を経て、言葉が違う、価値観が違う、何もかもが違う人たちとでも、むしろその違いを活かし合うことで成果につなげることができる(中略)そう心から思えたことが、私の人生にとって最大の学びであり、大きなターニングポイントになりました〉

 5位のアルファシステムズ代表取締役会長・石川有子氏(80、1億9400万円)、8位のコーエーテクモHD代表取締役会長・襟川恵子氏(73、1億7500万円)は、いずれも1970年代に創業した会社を夫婦で成長させてきた。

 石川氏は夫・義昭氏が立ち上げた「通信分野に特化したソフトウェア開発」を経理の面から支えた。襟川氏もパソコンの草創期にゲーム作家となった夫・陽一氏を営業や広告、デザイン面などから支え続けた。

 9位のポピンズ代表取締役会長・中村紀子氏(73、1億5300万円)は、「元テレビ朝日アナウンサー」という異色の経歴を持つ。1973年に入局後、結婚や出産を経て退社し、フリーとなってからは『水曜スペシャル』(テレビ朝日系)「川口浩探検隊シリーズ」でレポーターも務めた。

 1987年に保育・介護事業を手掛けるポピンズの前身会社を設立し、事業を拡大させる傍ら、政府の審議会の委員などを歴任してきた。元首相夫人・安倍昭恵さんとも親しく、過去には「毎月のようにサシで飲む仲」と報じられたこともある。

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