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スリランカはどうなる? 歴史から学ぶ「国家破産」した国々の末路

スリランカの命運を握るIMF

 このように16世紀のスペインと近代のオスマン帝国、現代のロシアとギリシアでは、等しく国家破産、経済危機と言いながら、その内情には随分と違いがあった。今回のスリランカの場合はどうなのか。

 現在はIMFという国際機構があるから、近代以前のように、少なくとも露骨に植民地化されることはないだろう。ただ、状況は予断を許さない。同国のウィクラマシンハ首相(現大統領)は破産宣言時、議会での演説で、IMFからの金融支援獲得について、「過去には発展途上国として(IMFと)協議してきたが、今は破産国家として協議しているため、交渉はより困難で複雑になる」と述べたという(時事通信「スリランカが『破産』宣告 燃料不足、危機長期化」7月6日付)。

 同首相は年末に向けて「インフレ率60%」の見通しがあることも明らかにした。すでに物価は50%以上も高騰しており、特に燃料不足が深刻で、ガソリンを買うのに何日も並ばなければならない状況だという。いつの時代も、国家破産で真っ先に破壊されるのは庶民の生活かもしれない。

【プロフィール】
島崎晋(しまざき・すすむ)/1963年、東京生まれ。歴史作家。立教大学文学部史学科卒。旅行代理店勤務、歴史雑誌の編集を経て現在は作家として活動している。『ざんねんな日本史』(小学館新書)、『いっきにわかる! 世界史のミカタ』(辰巳出版)など著書多数。近著に『鎌倉殿と呪術 怨霊と怪異の幕府成立史』(ワニブックス)、最新刊に 『ロシアの歴史 この大国は何を望んでいるのか?』(じっぴコンパクト新書)がある。

 

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