田代尚機のチャイナ・リサーチ

欧州の天然ガス危機で脱ボイラーの動き 商機を見出した中国エアコンメーカーの株価急騰

幅広いジャンルで増える中国の輸出

 暖を取る製品ということで、エアコンメーカーの海信家電(000921)、美的集団(000333)、電気カーペットメーカーの彩虹集団(003023)、趣睡科技(301336)、アウトドア機器メーカーだが暖房機器の輸出もある浙江永強(002489)、工具メーカーだが欧州向けに暖炉や壁面暖房などの暖房機器の輸出のある杭州巨星科技(002444)などが、銘柄ごとに上げ下げの程度や時期に違いはあるものの、個人投資家から大きな注目を集めている。

 新型コロナのパンデミック時にも中国企業の機敏な対応が目立ち、マスク、消毒薬、業務用の透明な間仕切りから、在宅勤務者向けのパソコン、家具に至るまで、幅広い製品で中国の輸出が増えた。

 今回のエネルギー危機に際しても、中国企業が収益を上げることになるのかもしれない。

 株価について、補足しておくと、冷静に企業業績への貢献度と株価の関係をみる限り、いずれの銘柄も既に上がりすぎた感がある。ここから追従買いするには個別に詳しく業績見通しを評価する必要がありそうだ。

 欧州で起きている問題は、天然ガス不足だけではない。電力不足も深刻である。天然ガス不足に加え、水力発電、原子力発電ともに発電量が減少しており、電力価格も大きく上昇していることから、省力家電のニーズが高まっている。

 日本の空調メーカー、暖房機器メーカーなどにも十分チャンスがあるように思うが、欧州向けに積極的に売り込んでいるのだろうか。半導体不足は克服できているのだろうか。

 歴史的な円安は輸出企業にとって大きな追い風となる。機敏に動けばグローバルなエネルギー危機もビジネスチャンスに変えることができるはずだ。

文■田代尚機(たしろ・なおき):1958年生まれ。大和総研で北京駐在アナリストとして活躍後、内藤証券中国部長に。現在は中国株ビジネスのコンサルティングなどを行うフリーランスとして活動。ブログ「中国株なら俺に聞け!!」(https://www.trade-trade.jp/blog/tashiro/)も発信中。

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