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田代尚機のチャイナ・リサーチ

中国の「不動産バブル崩壊」を過剰に警戒する必要はあるのか

中国の不動産バブル崩壊は現実のものとなるのか(中国・江蘇省。Getty Images)

中国の不動産バブル崩壊は現実のものとなるのか(中国・江蘇省。Getty Images)

 中国経済の行く末について、どこまで警戒すべきなのか──。米国では、複合的な要因によるインフレが発生、金融引き締め政策を強いられている。欧州では、ロシアへの制裁に加え、ロシアによる制裁返しなどにより、エネルギー危機に直面している。新興国では、先進国経済の変調から、大規模な資金流出のリスクにさらされている。

 グローバル経済が厳しい状況の中、需要を創出し、新興国の傷んだ金融システムに支援の手を差し伸べることができそうなのは中国ぐらいしか見当たらない、という声もある。しかし、その中国においても、景気低迷リスクが投資家の間で強く意識され始めた。

 足元の状況をみると、8月の製造業PMIは49.4で、前月よりも改善してはいるが、景気の拡大、縮小の分かれ目となる50には及ばない。7月の経済統計はいずれも予想を下回る結果で、とりわけ、消費の不振、不動産投資の減速が目立つ内容であった。

 景気の回復力が弱い要因を整理すれば、ゼロコロナ政策、不動産市場の低迷に集約される。

 ゼロコロナ政策については、残念ながら当局がいつ止めるのか、それを見通すのは難しい。他国と比べようもない厳しい対応策を取り続けているが、中国にとって最も上位に位置される政策であり、簡単には取り下げられない政策だ。

 ただ、直近の外国人に対する入国制限などをみると、たとえば、親族訪問のためのビザ(Q1、Q2)、家族呼び寄せのためのビザ(S1、S2)は7月1日以降、発行が再開されており、長期留学生向けビザ(X1)については8月23日に再開されている。

 これまで基本的にビジネスパーソンに限り、最低限の入国しか認めなかった当局だが、感染リスクが増大する外国人の受け入れを緩和し始めている。七中全会(中央委員会の第7回総会)、第20回党大会が終了する10月下旬以降、ゼロコロナ政策についても、政策転換があるかもしれない。

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