森口亮「まるわかり市況分析」

セブン&アイHDやイオンが好決算でも株価下落した理由とは? 最新決算の「3つの傾向」

物流費高騰や中国不安に懸念

 2つ目は、「物流費高騰や中国不安への懸念」です。グローバルに活躍する電気機器メーカーの安川電機(6506)は2月決算企業で、その決算内容は3月決算企業の「先行指標」と言われています。その安川電機が10月7日に上半期の決算発表を行いました。

 2023年2月期の連結業績予想について、営業利益を720億円から700億円へ、純利益を525億円から515億円へ下方修正を行い、10月11日には株価が6%を超える大きな下落となりました。

 安川電機が発表した決算短信には、地域別の経営環境についてのコメントが載っていますが、記載のある地域の中で、中国について「ロックダウンの影響で設備投資が減少、需要は伸び悩み」というネガティブな表現が使われていました。また、利益面の下方修正の理由として「原材料費や物流費の高騰影響が期初の想定より大きくなっている」ことをあげています。

 このことから、中国景気や資源価格、物流費に影響を受ける銘柄の業績修正リスクが高いという傾向が見えてきました。

円安下でインバウンドへの期待が継続

 3つ目は、「円安下でインバウンドへの期待が継続」です。前の2つと違い、明るい材料となります。

 10月7日大引け後に百貨店大手の高島屋(8233)が上方修正を発表しました。2023年2月期の連結経常利益を従来予想の160億円から255億円へと59.4%上方修正し、前年比の増益率が2.3倍から3.7倍に拡大する見通しとなりました。

 上方修正の理由としては、「コロナ後の消費マインドの改善や、円安による海外グループ会社の業績改善」を主な理由として挙げています。市場も好感触を示し、多くの業種の株価が大幅安となった10月11日に、前日比3.3%高と強い動きになりました。コロナの水際対策緩和が実施されたことによるインバウンドへの期待も重なっているものと思われます。このことから、市場における「円安と水際対策緩和によるインバウンド期待」は継続しているように感じました。

 2月決算企業の決算内容を分析することで、翌月に本格化する3月決算企業の決算傾向を先んじて分析することができます。これは中間決算に限らず、本決算でも有効な手段ですので、投資家の皆さんはぜひ意識していただきたいと思います。

【プロフィール】
森口亮(もりぐち・まこと)/個人投資家、投資系YouTuber。1983年、埼玉県生まれ。元美容師。「Excelで決算数値を管理して、有望な成長株を中・長期的に狙う」という手法で資産を10倍に。その後も着実に資産を増やしている。著書に『1日5分の分析から月13万円を稼ぐExcel株投資』(KADOKAWA)がある。YouTube「毎日チャート分析ちゃんねる」やnote(https://note.com/morip)を日々更新中。

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