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吉田みく「誰にだって言い分があります」

「我が家には無理」と旅行計画を断念する主婦も 全国旅行支援が浮き彫りにする家庭格差

観光地が賑わう一方で…(時事通信フォト)

観光地が賑わう一方で…(時事通信フォト)

 政府の観光支援策「全国旅行支援」が10月11日から始まった。1人当たりの旅行代金が40%割引(助成上限額は交通付き旅行商品で1人1泊当たり8000円、それ以外は5000円)になるだけでなく、旅行先で使える最大3000円分の地域クーポンが付与される。非常にお得に旅行できる制度に見えるが、この制度がきっかけとなり心をざわつかせている人もいるという。いったいどういうことなのか、吉田みく氏がレポートする。

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 全国旅行支援は、都道府県が独自に行う旅行助成や、テーマパークやイベントの入場料が2割引(最大2000円)になる「イベント割」と組み合わせることで、トータルの割引額はさらに大きくなる。“お得”に旅行できるとして、店頭やネットでの申し込みが殺到し、窓口で長時間待たされたり、なかなか予約できないなどのトラブルも大きな話題となった。

 沸き立つ人々がいる一方、パート主婦ユミコさん(仮名、39歳)は、ママ友の旅行話を聞いたことがきっかけで心がざわついたそうだ。ユミコさんは、神奈川県内で夫と7歳、5歳の2児の4人で暮らしている。

「先日スタートした全国旅行支援ですが、我が家には無縁だなと思いました。テーマパークのチケットや宿泊料金が割り引かれるのは大きなメリットだと思いますが、旅先での食事やガソリン代のことを考えると手が届きません。『行きたかったホテルの予約が埋まってた!』『テーマパークのチケット取りたいのにサイトに繋がらない!』などとSNSでつぶやいている人を見ると、余裕があるんだな……って。羨ましいです」(ユミコさん、以下同)

 ユミコさん一家はコロナ禍に新築戸建てを4000万円台で購入し、毎月約12万円のローンを返済している。気に入って購入した物件だったものの、毎月の支払いの負担感が大きいため精神的に追い詰められることも多いという。そうしたこともあり、他人が贅沢していると感じられる話には敏感になってしまうそうだ。

 そんなユミコさんの心を特にざわつかせたのが、ママ友のSNS投稿だった。家族で人気テーマパークへ遊びに行ったというもので、“高級宿”とランク付けされたホテルに宿泊している写真がアップされていたという。

「その投稿には、『全国旅行支援でお得に行けた! ラッキー!』と書かれていました。羨ましかったです。コロナの影響もありましたが、旅行なんて5年はしていません。今の我が家にはそんな余裕はないです……」

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