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増加する高齢者の孤独死 特殊清掃業者が明かす「清掃の苦労」と「処理費用」

60才以上でひとり暮らしをする人の半数以上が「身近な問題と感じている」と回答(イメージ)

60才以上でひとり暮らしをする人の半数以上が「身近な問題と感じている」と回答(イメージ)

 いま、孤独死する人が増えている。内閣府がまとめた「令和4年版高齢社会白書」には、東京23区内における「ひとり暮らし」かつ「65才以上の人の自宅での死亡者数」が報告されている。

 それによれば、2011年は2618人だったが、9年連続で増加し続け、2020年には4238人に。その数は1.6倍になっている。同白書には、60才以上でひとり暮らしをする人の半数以上が「孤独死を身近な問題と感じている」と回答したという結果も報告されている。

 2021年の「国民生活基礎調査」(厚生労働省)によると65才以上の高齢者がいる世帯のうち、単独世帯は28.8%を占める。高齢者の約3割が「おひとりさま」であることから、孤独死は今後も増え続けることが予想されている。孤独死や変死が起きた部屋を原状回復する特殊清掃を行う、清掃会社「まごのて」の佐々木薫さんが話す。

「私たちの肌感覚でも、いわゆる孤独死は年々増加しています。特に高齢者のケースは数が多く、もう珍しいことではなくなっています」

 前述の内閣府の調査では孤独(孤立)死を「誰にも看取られることなく、亡くなった後に発見される死」と定義している。たとえいまは家族と住んでいたとしても、今後誰にでも訪れる可能性がある。孤独死は自宅で亡くなることが多いが、自宅のどこで最期を迎えるのだろうか。

「布団の上で亡くなっているかたがいちばん多い。寝ているときに亡くなるだけでなく、具合が悪くなって横になったままといった亡くなり方が多いのだと思います。ほかには風呂場も多い。ヒートショックなどの影響なのでしょう。そのほか、椅子に座りテレビを見たままの状態で亡くなっている場合も少なくありません」(佐々木さん・以下同)

 腐乱が進めば近隣から異臭による苦情が出るという。佐々木さんらが手がける特殊清掃の会社には、遺族や住んでいた部屋のオーナーなどから依頼が入る。

「依頼が入ると、まずは『1次処理』をします。これは消臭と害虫を予防する処置です。布団の上で亡くなっている場合は、体液がしみ込んだ寝具類を撤去して消臭する。遺体跡が見えないようビニールで覆います。

 さらに、ハエやゴキブリなどの虫を処理し、新たに寄ってこないようにする。この処理をしておかないと見た目ばかりかにおいもひどい。ご遺族が遺品整理をすることも困難です。何より、臭気で周辺住民に迷惑がかかります」

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