家計

「貯蓄好きで投資ぎらい」な日本人がハイリスクなFXに飛びついてしまう不思議

日本でFXに興味を持つ人が少なくない背景とは(イメージ)

日本でFXに興味を持つ人が少なくない背景とは(イメージ)

 必死に働いても賃金は増えず、生活レベルを変えたわけでもないのに、物価高で出ていくお金だけが増えていく。仕事でお金が稼げないのであれば、資産を守る手段は「生活の質を落とす」か「投資で増やす」の二つに一つだ。

 だが、日本人はいまもなお、現金・貯金が大好きで、投資ぎらいな人が多い。家計の金融資産の構成を見ても、日本では「現金・預金」が50%以上を占め、「株式」や「投資信託」への投資はわずか15%弱。

 一方アメリカでは「現金・預金」が約13%で、「株式」や「投資信託」への投資は50%以上となっている。なぜ、日本人はこんなにも貯金が好きなのか。明治大学政治経済学部教授で経済学者の飯田泰之さんは言う。

「日本では1998~2015年頃の約20年もの間、デフレが続いていました。いまとは逆で、同じ金額でも買えるモノが増えていたため、ただお金を置いておくだけで豊かになることができた。そして、かつての高度経済成長によって国民のほとんどが自営業ではなくサラリーマンになったことから、金額が固定されず、少しでも損する可能性のある投資への抵抗感が強いのです」

 戦後、日本の株式市場が再開したのは1949年。その後日本は高度経済成長を謳歌したものの、1990年頃にバブルが崩壊し、株式市場も市場最高値から大暴落。すぐに失われた30年に突入し「投資は大損するものだ」と刷り込まれてしまった。

 日本つみたて投資協会代表理事の太田創さんが言う。

「和をもって貴しとなす日本人は、戦後も相互扶助と勤労の精神で日本を急速に復興させました。一方、時に他人を出し抜くような“投資家”を目指すことは好まれませんでした。こうしたことから、日本人の多くが投資に興味を持たなくなったのです。興味がない人の耳に入ってくるのは“投資で大儲けした”“投資で大損した”という、両極端な話ばかり。その結果、投資に対する偏ったイメージが刷り込まれているのです。その最たるものが“投資詐欺に引っかかる”というものでしょう」

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