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田代尚機のチャイナ・リサーチ

香港株、10月末安値を底に急上昇中 社会管理体制の緩和で中国景気に好転期待

香港ハンセン指数は10月末を底値に急上昇が続いている(写真は11月15日。Getty Images)

香港ハンセン指数は10月末を底値に急上昇が続いている(写真は11月15日。Getty Images)

 香港ハンセン指数が急騰している。大底は10月31日場中で記録した14,597ポイント。景気減速が顕著となる中、第20回党大会、一中全会を経て習近平一極体制、共産党の社会主義への傾倒が意識され、2009年4月28日以来、約13年6か月振りの安値を付けた。

 悲観一色の相場も11月に入ると一転、急上昇。11月下旬に浅い押し目を付けたものの、前週(11月28日~12月2日)は再び上昇トレンドを取り戻しており、12月5日は歴史的ボトムから34%高い19,518.29ポイントを付けて引けている。

 テクニカルでみれば、形は少し崩れているが、12月5日終値時点で逆三尊を形成している。強気相場の目安と言われる200日移動平均線は2万ポイントを少し割ったところにあるが、早ければ今週中にもこれを上回ってくる可能性もありそうだ。

 急展開の要因は、ゼロコロナ政策の精緻化、緩和と、それに伴う景気好転期待の高まりの2点と考えられる。

 中国共産党中央政治局常務委員会は11月10日、新型コロナウイルスの感染予防、コントロール業務をさらに一歩進んで優れたものとするために、「二十か条の措置」を採ると発表、翌日にはその具体的な内容を含む通知が国務院から発表された。

 この段階では、文書として発表されただけであったが、11月下旬から12月上旬にかけて、各地方政府が五月雨式にPCR検査、健康コードによる社会管理の簡素化などを発表、すぐに実行に移している。

 二十か条の実践について、その背景からその内容までよくわかるのが、保定市(河北省)による発表だ。

 保定市は12月4日、メッセンジャーアプリ・微信(ウィーチャット)を通じて、「専門家:オミクロン株の毒性は非常に低く、市民は普通の感冒に用いられる薬を備えておけばよい」とする文章を発表した。

「これまでの新型コロナウイルス株では肺炎を引き起こす確率が50%以上あったが、オミクロン株では感染者の絶対的大多数が無症状あるいは軽症であり、感染の種類も上気道感染が中心である」といった唐小平書記(広州医科大学党委員会)の意見を紹介している。

 保定市では11月、多数の新規感染者が出たものの、他の地域とは異なり、厳しい規制は行われなかった。しかし、重病人が多数発生して医療崩壊が起きるようなことはなく、国家衛生健康委員会が発表したデータによれば、12月4日における保定市の新規感染者数(海外からの流入を除く)は、症状の出ている感染者、無症状の感染者ともにゼロである。

 恐らく、実体としてゼロというわけではなく、感染者を特定するための厳しいPCR検査が行われなくなったから検出されなくなったのだと推測される。保定市は“集団免疫の取得で乗り切れる”、或いは“乗り切れた”と判断したとみられる。

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