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“コロナ離婚”は正当な理由にならない? 民法上認められる「離婚の条件」5つとは

調停・裁判で認められる「離婚の条件」5

調停・裁判で認められる「離婚の条件」5

 絵に描いたようなモラハラ夫でも、夫の「離婚はしない」というひと言で、調停にならざるを得なくなるのだ。しかも、夫が「モラハラなんてしていない」と主張すれば、調停は長引く。本当に「婚姻を継続し難い重大な事由」かどうか、立証しなければならないのだ。

「モラハラをしてくる配偶者に離婚を拒否された場合は、別居するしかありません。別居が3~5年に及ぶと、それ自体が『婚姻関係を継続できていない』と見なされ、離婚理由になります」(日原さん)

 戦後は、不貞などで離婚の原因をつくった側である「有責配偶者」からの離婚請求は許されない、という考えだった。『損する結婚 儲かる離婚』(新潮新書)などの著書がある作家の藤沢数希さんが言う。

「1987年、不倫をした夫が妻に離婚を求めていた裁判で、最高裁判所が“もはや夫婦の関係は破綻していて、修復の見込みがない”として、有責配偶者からの離婚請求を認めたのです。この夫婦の別居期間は36年間で、判決時は夫74才、妻70才でした。この判決により、いまでは最短5年ほどの別居期間があれば、離婚を認められやすくなりました」

 調停や裁判などにかかる離婚費用は、離婚が成立した場合の財産分与によっても上下するが、総額100万~200万円ほどが必要になることもある。それほどの大金を支払いながら、ひとりで生きていける女性は少ない。

 だが安心してほしい。専業主婦などで収入がない場合は夫に対し、別居期間中の生活費を「婚姻費用」として請求することができる。

「離婚において支払われるお金のうち、慰謝料や財産分与などより、想定外に大きな金額になるのが『婚姻費用』です。別居中も夫婦間の生活レベルが変わらないように、お金を稼いでいる方が、もう一方の生活費を負担しなければならないのです。恐ろしいのは、婚姻費用は離婚が成立するまで“永遠に”払い続けなければならず、“お金を稼いでいる側が支払う”と決まっていることです。“どちらが悪いか”は関係ありません。婚姻費用を数年分前渡しして、離婚を承諾してもらわなければならなくなります」(藤沢さん)

 つまり、たとえ夫の不倫が原因であっても、妻の方が稼いでいれば、婚姻費用の支払いを求められるのだ。

※女性セブン2023年1月1日号

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