田代尚機のチャイナ・リサーチ

中国「新10か条」でゼロコロナ政策が実質形骸化 医薬品株急騰、景気回復に期待高まる

中国全土で人流が復活しつつある(江蘇省淮安。Getty Images)

中国全土で人流が復活しつつある(江蘇省淮安。Getty Images)

 中国の一部医薬品メーカーの株価が急騰している。解熱剤として広く使われているイブプロフェンを製造する山東新華製薬のH株(00719)は先週1週間(終値ベース、以下同様)で64%、深センA株(000756)は53%上昇した。また、イブプロフェン原薬を製造する享迪薬業(深セン創業板株:301211)は26%上昇、感冒薬メーカーである仁和薬業(深センA株:000650)の株価は13%上昇した。

 週明けの12月12日には、山東新華製薬のH株は54%暴騰、同じくA株はストップ高、享迪薬業もストップ高、仁和薬業は7%高となるなど、株価急騰が続いている。

 中国では11月に入り、ゼロコロナ政策の緩和が急速に進展した。

 11月11日には「新型コロナの予防、コントロール業務をさらに一歩進んで優れたものとするための20か条の措置」が発表されだが、12月7日には追加策として「新型コロナ対策に関する新10か条」が発表された。この新10か条が実質的にゼロコロナ政策を形骸化させるような内容であったことが、一部の医薬品メーカーの急騰に繋がっている。

 新10か条の中核部分は、「陽性者について、無症状であったり、軽症の場合には、自宅隔離が認められたこと」、及び「外出時におけるPCR検査による陰性証明、健康コードの提示義務が取り消されたこと」の2点である。

 前者によれば、市販、或いは過去に無償給付された抗原検査キットなどを使って自宅で感染しているかどうかを確認し、陽性であっても症状が重くない限りは、当局に通知する必要はなくなった。市販の解熱剤や感冒薬を服用しておけばよいことになったので、こうした医薬品の需要が急増している。特に、参入メーカーが比較的少ない割には需要の大きなイブプロフェンが注目され、関連メーカーの株価が急騰したのである。

 このほか、漢方薬の「連花清瘟」も需要が急増している。こちらは12月9日、市場監督管理総局が関連メーカーに対して、売り惜しみ、価格つり上げ行為が行われていないかどうか、9月以降の販売状況について検査を行うと発表しており、社会問題となるほど需給逼迫が深刻だ。

 連花清瘟は感冒薬として以前から広く普及していたが、新型コロナウイルス感染症に効果があるという評判が広まって、この秋以降、品薄状態が続き、価格上昇も目立っていた。大手メーカーである石家荘以嶺薬業(深センA株:002603)の株価は先週1週間で21%、9月26日の場中で付けた安値と12月9日終値を比較すれば株価は2.7倍に上昇している。

 ちなみに同社は12月6日、「卸売り会社への販売価格は安定しているが、末端販売価格が急騰しているようであれば、すぐに政府関連部門に連絡していただきたい。現在、生産拡大に取り組んでおり、全力で供給を保障する」といった内容の公告を出している。

 北京市某大学博士課程に籍を置く知人によれば、10日に38度を超える熱を出したが、そのまま自宅で解熱剤を飲んで過ごしているという。大学には既に陽性者が続出しており、彼自身は「大勢が集まる食堂で感染したのではないか」と推測している。

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