田代尚機のチャイナ・リサーチ

中国「新10か条」でゼロコロナ政策が実質形骸化 医薬品株急騰、景気回復に期待高まる

地方政府に「勝手に人流制限しないよう」通達

 新10か条が発せられたことで、感染対策は全国的に標準化された。今後は新型コロナウイルスの感染者をゼロに抑えるのではなく、感染率を8~9割に高め集団免疫を獲得することに目標は替わったとみられる。

 制度としては、依然として新型コロナウイルスを感冒と同等に扱うことにはしていない。重症の陽性者に対しては従来と同様の隔離措置、PCR検査陰性証明による管理措置を続けている。ワクチン接種についても60歳以上、特に80歳以上の高齢者に対する接種率を上げるなど、集団免疫だけに頼るわけではない。うまく行かなければすぐに従来の体制に戻れる形をとりながら、当局は集団免疫の獲得を目指しているようだ。

 さらに、外出時におけるPCR検査による陰性証明と健康コードの提示義務が取り消されたことで、国内に限れば、基本的に人流制限が解かれた。その結果、航空チケット、ホテルの予約が急増している。

 新10か条では、リスクの高くない地域の地方政府に対して、勝手に人流を制限したり、工場を止めたりしないように、わざわざ文言として示している。今後、コロナ禍が経済活動に与える悪影響は小さくなるだろう。

 5月以来、総合的な経済対策が立て続けに打ち出されているが、ゼロコロナ政策の影響で効果が一部相殺されていた。しかし、ゼロコロナ政策が実質的には形骸化したことで今後、景気対策の効果が一度に効き始める可能性が高い。

 もちろん、感染防止対策を一気に緩めたことで、感染者の急増から社会の一時的な混乱が起こる可能性はある。しかし、ここから経済対策の効果が効き始めると、春節明けの2月以降にも、景気のV字回復が期待されるのではないか。

文■田代尚機(たしろ・なおき):1958年生まれ。大和総研で北京駐在アナリストとして活躍後、内藤証券中国部長に。現在は中国株ビジネスのコンサルティングなどを行うフリーランスとして活動。ブログ「中国株なら俺に聞け!!」(https://www.trade-trade.jp/blog/tashiro/)も発信中。

注目TOPIC

当サイトに記載されている内容はあくまでも投資の参考にしていただくためのものであり、実際の投資にあたっては読者ご自身の判断と責任において行って下さいますよう、お願い致します。 当サイトの掲載情報は細心の注意を払っておりますが、記載される全ての情報の正確性を保証するものではありません。万が一、トラブル等の損失が被っても損害等の保証は一切行っておりませんので、予めご了承下さい。