田代尚機のチャイナ・リサーチ

W杯カタール大会“ビジネス面の勝者”は中国か 競技場、空港、地下鉄などインフラ整備に大きく関与

決勝でゴールを決めたディ・マリアのもとに駆けつけるメッシら。後ろには大きく「WANDA」の広告が(Getty Images)

決勝でゴールを決めたディ・マリアのもとに駆けつけるメッシら。後ろには大きく「WANDA」の広告が(Getty Images)

太陽光発電所や貯水池も建設

 カタールの国土面積は日本の秋田県よりもやや狭い程度、人口は280万人に過ぎない。三方を海に囲まれており、冬は比較的過ごしやすいようだが、国土の大半は砂漠と岩の荒野である。開催都市であるドーハは首都とはいえ、W杯を開催するためのインフラが決定的に不足しており、そのための建設から準備を始めなければならなかった。

 まず、競技場だが、既存の1か所を改修した上、新たに7か所を新設した。過去のW杯を参考にすれば、大会期間中、海外から100万人を超える関係者、観戦者が訪れると予想され、それに見合う規模の交通インフラを用意した。新たにハマド国際空港、ドーハ地下鉄を新設、港湾を改修した。さらに、充分な電力を確保するために大規模な太陽光発電所、大量の水を蓄えるための貯水池などを建設した。

22平方キロメートルという広大な敷地を持つハマド国際空港(Getty Images)

22平方キロメートルという広大な敷地を持つハマド国際空港(Getty Images)

 こうしたインフラ設備の建設には、中国鉄建、交通建設、三一重工、精工鋼構、華為、中国葛洲ダム集団をはじめ多くの中国企業が参加し、また、資材を供給した。

 細かいところでは、スタジアムの椅子、LEDの大型スクリーン、空調、通信設備、スタジアム全体を制御するネットワークや、太陽光パネル、交通車両からサッカーボール、ユニホーム、ホイッスルなどの小物に至るまで、中国企業が関与した。

 実物経済の面では中国が国際的に大きな影響力を持っていることを改めて思い知らされるイベントであった。実は、カタールW杯のビジネス面での勝者は、中国だったのではないだろうか。

文■田代尚機(たしろ・なおき):1958年生まれ。大和総研で北京駐在アナリストとして活躍後、内藤証券中国部長に。現在は中国株ビジネスのコンサルティングなどを行うフリーランスとして活動。楽天証券で「招財進宝!巨大市場をつかめ!今月の中国株5選」を連載するほか、ブログ「中国株なら俺に聞け!!」も発信中。

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