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ニトリ・似鳥昭雄会長が日本の経営者に苦言「労働生産性が低いのは経営陣の問題」

国内平均の約2.8倍。高い水準にあるニトリグループの労働生産性

国内平均の約2.8倍。高い水準にあるニトリグループの労働生産性

 ニトリ社員の1人あたりの労働生産性(粗利益高/年間平均従業員数)は2000万円を超えていますが、日本全体の平均は約800万円。アメリカの半分程度しかないんです。

 労働生産性が低いのは経営陣の問題で、改革ができないのであればどんどん組織を変えるべき。社長の重要な仕事の一つは、自分の給料を減らしてでも優れた人を高給で引き抜くことです。極端に言えば、会社は革命を起こせる人材が1人いれば一気に変わります。手前味噌ですが、私みたいな革命児が1人いればいい。

 社長には10年先の業績を社員に語り、ピタリと一致させる能力が求められます。2~3年先の計画すら出せない経営者では、社員が夢や希望を持てません。私は社員が夢や希望を持てるビジョンを示して、「会社のためでなく、自分のために日本一の技術者になりなさい」と伝えます。社会の人々の役に立ち、感謝されることがスペシャリストですよ、とも。

 どんな大学時代を過ごそうとも、入社した社員を教育し、20年かけて日本一の技術者にする。そうした人材が育ったからニトリグループはここまで来られました。

 社員こそがニトリグループの一番の財産です。だから我々は初任給を毎年上げ、ベースアップを19年連続で実施してきました。2022年第3四半期が減益でも、2023年の春季労使交渉について、基本給を含めた賃金テーブルを底上げするベースアップと、定期昇給を合わせた賃上げ率は、「4%以上」とすると宣言しました。今年で、20年連続のベースアップとなります。

 日本の企業がベアしないのは大きな間違い。弊社が「4%以上の賃上げ」をいち早く宣言したのは他社が追従しやすくなると思ったからです。会社の利益を多少削ってでも、苦しい時に健闘した社員に報いたいと思っています。

(了。第1回から読む

※週刊ポスト2023年2月3日号

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