難病を発症したことを機に、年金をどう受け取るか、あらためて考えるようになったという(岸博幸さん)
「受給を遅らせるほど増えるとはいえ、何才まで遅らせればいいのか?」──年金についてそんな疑問や不安があっても、調べただけではよくわからない人は多いだろう。損をしない年金のもらい方を探るべく、お金のプロに“リアルな年金戦略”を聞いた。
元々は70才まで繰り下げるつもりだった
元経産官僚で経済評論家の岸博幸さん(63才)は、慶應義塾大学大学院の教授も務めているため、国民年金と厚生年金の二階建てで受け取ることができる。だがそれでも「いまは年金が少ない時代だ」と語る。
「国民年金だけの自営業者だと、夫婦で平均して月に約14万円。これでは物価高に追いつけない家庭がほとんど。年金制度には、抜本的な改革が必要です」(岸さん・以下同)
そんな岸さんは3年前、60才のときに難病の多発性骨髄腫を発症。70才まで繰り下げるつもりだった年金を、65才から受け取ろうか検討中だという。
「主治医からちゃんと治療すれば10年は大丈夫と言われました。つまり“余命10年”の可能性があるということ。これまでずっと年金保険料を払ってきたのに、70才になって年金をもらってすぐに死んだらバカバカしいでしょう。
春から高校生になる息子と中2の娘がいるので、受け取った年金は教育費などに回すつもりです。でも、完治しない病気を抱えていても、長生きする可能性がないわけではないので、正直、まだ悩んでいます」
