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年金世代は「確定申告してもたかが知れている」の誤解 配偶者特別控除の適用で「5年で28万円取り戻せる」例も

年金世代は「配偶者特別控除」で節税できるケースも(イメージ)

年金世代は「配偶者特別控除」で節税できるケースも(イメージ)

 今年も2月16日から「確定申告」が始まった(3月15日まで)。自営業者・フリーランスの人のためのものと思いがちだが、会社勤めの人や年金生活者も、源泉徴収で天引きされすぎている場合は所得税を取り戻すチャンスとなる。『年金生活者・定年退職者のための確定申告』(技術評論社)の監修者である山本宏・税理士は、「少なからぬ人が控除を巡る勘違いをして税金を払いすぎているので、確定申告できちんと取り戻してほしい」とアドバイスする。

 会社員の場合は年末調整があるため、医療費控除を使ったり寄付金控除を申告したりするケース以外は確定申告が不要と考えがちだが、山本氏によれば年金を受給しながら会社勤めをするシニア世代は原則として確定申告が必要になるという。手続き自体は勤務先から受け取る源泉徴収票や公的年金の支払い調書などを参照して所定の書類に金額を書き込んでいくというシンプルなものだが、「実際に相談に乗ったケースで10万円以上が還付されたケースもある」(山本氏)という。

「年金事務所に扶養者申告をしていないケースでは、とくに還付額が大きくなります。シニア世代から相談を受けていると、妻が年金受給者である場合の『配偶者控除』を巡る誤解が非常に多いという印象を受けます。共働きだった妻に厚生年金の加入期間があって、年金額が150万円とか200万円になっていると“配偶者控除の対象にならない”と思い込んでいる人が多いのです。

 実際には仮に妻に200万円の年金収入があっても、65歳以上の年金受給者には110万円の公的年金等控除があるので、所得は90万円になる。配偶者の所得が48万円超95万円以下の場合は38万円の『配偶者特別控除』を受けられるのです(本人の合計所得が900万円以下の場合)。これをきちんと申告することによって還付が受けられるわけです」

 所得税は累進課税で、課税所得が195万円以下なら税率は5%となる。収入が少なくなっていくシニア世代は、「そもそも納めている所得税が少ないから、確定申告しても戻ってくる額はたかが知れている」と考えがちだが、そうとも限らない部分もあるようだ。

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