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「年金をもらいながら働く人」の確定申告のススメ 配偶者控除を巡る誤解には要注意

「税金ゼロ」の生活に近づける

 こうした還付金が発生する大きな理由のひとつに「配偶者控除」を巡る誤解があると山本氏は続ける。

「前述のケースでは年金から多く源泉徴収されていましたが、年金事務所に扶養者申告をしていないとそういう事態になります。確定申告の無料相談などで話を聞いていると、年金の配偶者控除について誤解している人が多い。妻の年金収入が150万円くらいで“配偶者控除の対象にならない”と思い込んでしまっている。65歳以上の年金受給者は公的年金等控除が110万円あるので、妻の年金収入が150万円なら所得は40万円。48万円以下なら配偶者控除の対象になるのです」

 使える控除は漏れなく申告することで、還付される額をどんどん大きくしていけるわけだ。

「所得税率が5%(課税所得195万円以下)の水準だと、所得税の還付額は少ない印象になるが、確定申告で課税所得が減れば翌年は一律10%の住民税も減額されるというのが大きい。所得控除として申告した額の15%分が得になるという考え方になります」

 14種類ある所得控除のうち、最も使えるケースが多いのが「医療費控除」だ。医療費控除の明細書を作成して申告書と一緒に提出することで、適用を受けられる。

「仮に高額療養費制度や民間の保険で補填された額を差し引いた自己負担額が20万円であれば、超過した10万円分が所得控除になる。申告すると所得税と住民税合わせて1万5000円分(15%分)の得になるわけです。医療費の窓口での支払いは3割負担となる基準がどんどん厳しくなり、高額療養費制度の自己負担上限額も引き上げられている。医療費控除を活用できる人が増えています。

 また、ふるさと納税をした際には寄附金控除の申告が必要(ワンストップ特例を使った場合を除く)だし、台風や水害などの際に罹災証明をもらえば雑損控除が申告できる」(山本氏)

 様々な控除をフル活用すれば、所得税や住民税をゼロに近づけていくことも可能なのだ。

※週刊ポスト2023年3月3日号

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