田代尚機のチャイナ・リサーチ

中国のメタバース業界トップ「飛天雲動科技」が香港上場の他企業と異なる点

米国流のイノベーション企業が中国でも誕生しつつある(香港証券取引所。Getty Images)

米国流のイノベーション企業が中国でも誕生しつつある(香港証券取引所。Getty Images)

 メタバースを使えば、自宅に居ながら世界の海辺を散歩することができる。旅行、文化活動、レジャーに限らず、マンションの内覧でも、スーパーでの買い物でも、メーカーの工場見学でも、職業訓練でさえも、自宅で出来てしまう。

 AIに関する技術革新は、拡張現実(AR)、仮想現実(VR)の質を飛躍的に向上させ、いつかは現実と遜色のないメタバース(仮想空間)を完成させるだろう。

 中国にはメタバース関連のベンチャー企業が数多く誕生しているが、「飛天雲動科技(フローイング・クラウド・テクノロジー)」もそうした企業の一つである。

 創業者は1980年代生まれ(80后)の汪磊会長。北方工業大学を2005年7月に卒業、同時にゲーム会社に就職した。そこで2年半、オンラインゲーム運営にかかわった後に独立、2008年にはゲーム開発メーカーとして同社を創業した。

 その後、3Dゲームの開発技術を発展させる形でAR、VR、メタバース関連事業に参入、娯楽、文化・旅行、新小売、不動産、メーカー、職業訓練などの事業を行う企業にAR/VR、メタバースを使ったソリューションを提供したり、SaaS(クラウドサーバーにあるソフトウェアをインターネットを通じて提供)形式で営業の場(宣伝広告)を提供したりしている。

 たとえば、博物館の観覧とか不動産の内覧、店舗での買い物とかをインターネット上のサイトで行えてしまうようなコンテンツ・サービスをイメージすれば、この会社の主な事業内容はわかるだろう。

 2021年12月期の売上高は76%増収の5億9529万元(116億円、1元=19.5円で計算、以下同様)、純利益は19%増益の7020万元(14億円)と事業規模はまだ小さいが、それはこうしたAR/VRのアプリ、サービスがまだ誕生したばかりで、市場自体が小さいからだ。

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