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ビジネス
「命の値段」の不都合な真実

人が亡くなったときの賠償金が映し出す「命の値段」の日米格差 労災や医療ミスで死亡時の賠償額の違い、「日本は命の値段が安い」との批判も

日本と世界で医療ミスなどの賠償金に大きな差があるのはなぜか(イメージ)

日本と世界で医療ミスなどの賠償金に大きな差があるのはなぜか(イメージ)

「あなたの命はいくらですか?」──そう尋ねられたら、なんと答えるだろうか。とっさに頭に浮かぶのは「命はお金にかえられない」という答えかもしれない。ところが現実世界では、命はお金に換算されてしまう。しかもその値段は性別や職業、年齢によって“差”がある。私たちはこの不都合な真実とどう向き合うべきだろうか。【前後編の後編。前編から読む

海外と比較すると日本人の賠償金は低い

 命に“値段”をつけなくてはいけないのは、人が亡くなったときだ。交通事故に加えて、医療ミスや労災などで人が亡くなると、「賠償金」が算定される。その際、大きな柱になるのが「死亡慰謝料」と前出の「逸失利益」だ。

 事例ごとに“命の値段”はどう変わるのか。また、日本人の値段は世界と比べて「安い」のか「高い」のか見ていこう。

 賠償金が高額になった例として、2009年に眼科開業医の男性(41才)が走行中のタクシーと衝突し死亡した事故で、裁判所は加害者に5億853万円の損害賠償金の支払いを命じた。死亡した開業医は事故前4年間の平均所得が5500万円を超えており、逸失利益が4億7852万円と算出されたため高額となったのだ。

 一方、6才の小学生女児が歩行中にはねられて亡くなった事故では、逸失利益が約2833万円、慰謝料約2700万円などで損害賠償総額は約5764万円と算出された。開業医との差は歴然としている。

 そもそも海外と比較すると、性差や収入に限らず日本の賠償金は“安すぎる”という。加藤・轟木(とどろき)法律事務所の弁護士・轟木博信さんがアメリカの事情を紹介する。

「アメリカも日本同様、事故によって受けた損害を補填する考え方で、実際の賠償金額は100万ドル~300万ドル(約1億4400万~4億3200万円)ほど。ただし、アメリカは加害者に故意や悪意などが認められると、“見せしめ”として、多額の懲罰的賠償が認められることがあります。2021年にテキサス州で未成年男性が飲酒運転事故により四肢麻痺になった事件では、酒を提供したバーに1300億円の賠償を命じる判決が出ました」

次のページ:ニューヨークでは労災死なら毎週補償金が支払われる

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