*12:07JST トレンダーズ Research Memo(7):美容マーケティング等に集中(1)
■トレンダーズ<6069>の今後の見通し
1. 2026年3月期の業績見通し
2026年3月期の業績は、売上高8,700百万円(前期比40.5%増)、営業利益1,300百万円(同31.5%増)、経常利益1,300百万円(同31.1%増)、親会社株主に帰属する当期純利益800百万円(同33.2%増)を見込んでいる。マーケティング事業においては、引き続き美容カテゴリにおける成長を指向し、インフルエンサーマーケティング及びMimi Beautyの継続成長と、新たに子会社となったzenplusとの協業や連結効果による業績拡大を目指す。業績進捗の見込みは、zenplusのイベント案件による売上が季節要因により下期に偏重することに加え、インフルエンサーマーケティングやMimi Beautyについても中間期以降に案件実施や売上計上の本格化を想定している。業績予想の達成に向けては案件の計画的な取り組みと状況のモニタリングが重要になると考えられる。なお、インベストメント事業については営業投資有価証券の売却を見込んでおらず、減収減益予想となっている。
マーケティング事業では、引き続き美容カテゴリへ注力することで、売上高8,573百万円(同43.0%増)を計画している。美容マーケティング領域では、成長の鍵を握るアイスタイルとの協業で、1ブランド当たりの受注額向上と取引ブランド数拡大の施策を継続する。2025年3月期は、アイスタイルの韓国子会社であるGlowdayz, Inc.との連携により韓国コスメブランドと取引を開始し、累計受注額が約79百万円に達したほか、トレンダーズの既存取引ブランドに対してアイスタイルの広告メニューをアップセルし、取引規模は約330百万円に達するなどの成果を上げた。相互連携は2026年3月期も引き続き進むと考えられ、その動向に注目したい。またzenplusとの協業については現時点で具体的な施策は発表されていないが、zenplusの外資系ブランドやラグジュアリーブランドとの取引実績を踏まえれば、高い効果を発揮できる施策が期待できよう。さらに、SNSプラットフォームでの売上比率が拡大しているTikTokの新サービスである「TikTok Shop」に対応した運営支援サービス開始を表明しており、「TikTok Shop」の開始時期は現時点で明確ではないが、業績寄与に期待がかかる。ほかにも、しるしとの協業によりECモールでの運営支援サービスを開始する。既存対応領域では、Mimi Beautyについては大型イベント「Beauty Meets」の主催や、同メディア誕生10周年を記念したフリーペーパー「Mimi Beauty magazine vol.4」の発刊等により認知拡大策が進んでおり、さらに他の10周年企画等も予定されている。美容好きのユーザーを惹きつける施策の展開によってマーケティング戦略に生きる知見を蓄積する。インフルエンサーマーケティングでは、開発、特許出願したSNSプロモーションに最適なインフルエンサーをAIにより抽出する「インフルエンサーMAP」について、引き続きAIを積極活用し、より的確なカテゴリ分類や選定ロジックの開発を進める。
メディカルマーケティング領域では、特化する毛髪再生クリニックやアートメイククリニックで、運営やスタッフの採用及び定着に関する課題のほか、広告単価の高騰により集客コストの上昇が要因で、収益化に向けて苦戦している。2025年3月期は、SNS広告運用やサイト制作、オンライン予約システム導入等のマーケティング・運営DX支援によってレベニュー・シェアを獲得したことで売上面は堅調に推移したことから、採算性の向上により利益創出を狙う。具体的には、リピート率の向上や広告施策の改善、受け入れ患者数増加に向けたアーティスト増員により、採算性向上を図る。また2027年3月期の収益化に向けて、2026年3月期は引き続き必要な投資を継続する。
インベストメント事業は売上高126百万円(前期比35.8%減)を見込んでいる。2026年3月期は営業投資有価証券の売却は見込んでおらず、毎四半期の社債の受取利息による収入がメインとなる。社債については、引き続き期間のリスクを考慮して流動性を意識した運用を実施し、得た利益をマーケティング事業に投資する考えである。
(執筆:フィスコアナリスト 村瀬智一)
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