生成AIの普及により、データセンターの需要が急増している(イメージ)
2024年以降、株式市場ではデータセンター関連の銘柄が注目を集めている。その背景は何か。また、投資するにはどのような方法があるか。『世界一楽しい!会社四季報の読み方』などの著書がある個人投資家で株式投資講師・藤川里絵さんが解説するシリーズ「さあ、投資を始めよう!」。第148回は、「データセンター関連投資」について。
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2024年以降、株式市場ではデータセンター関連の銘柄が注目を集めています。代表格はさくらインターネット(3778)。2024年前半には、1000円台だった株価が一気に1万円台へと駆け上がりました。さすがに過熱感から最近は3000~4000円台で調整局面ですが、再び吹き上げてもおかしくないとの見方もあります。
データセンターが注目される背景
データセンターが注目された背景には、生成AIとクラウドの爆発的な普及があります。ChatGPTのような生成AIを動かすには、大量のデータ処理と電力が必要です。これを支えるのが、サーバーがぎっしり詰まったデータセンター。AIの学習や推論には莫大な計算資源が必要で、その拡張ニーズがデータセンター投資を加速させています。
また、日本政府も行政のデジタル化を推進し、複数の省庁システムを「ガバメントクラウド」に統合する方針を打ち出しました。その受託先として国内企業のさくらインターネットが注目され、株価が急騰したのです。AIも行政も、今や“クラウド前提”の時代。これが、データセンターという“新しいインフラ”への関心を押し上げています。
こうした中、最近「データセンターREIT(リート)」という言葉を耳にするようになりました。REITとは、不動産に投資して得られた賃料などを投資家に分配する仕組みのこと。これまで主流だったマンションやオフィスビルに加えて、今は“データセンター”に特化したREITに注目が集まっています。
データセンターREITの魅力は、需要急増の波に乗りつつ、比較的安定した収益を期待できる点にあります。2025年6月、金融庁はREITの運用対象として「設備」も組み入れ可能にする方針を発表しました。これにより、建物だけでなくサーバー設備への投資も可能となり、データセンターREITの現実味が一気に増しています。
さらに、NTTデータが2026年3月をめどに、国内初のデータセンター特化型REITを設立するとの報道もあります。当初の資産規模は最大1000億円とも言われており、世界的にはEquinix(EQIX)やDigital Realty(DLR)といった大手REITがすでに安定的な実績を築いています。