身近な農産物の多くを中国に依存している実態も(写真:イメージマート)
日本の食品衛生法に違反した中国産輸入食品の回収事例が相次いでいる。5月22日にブルーベリー、同28日に冷凍大根、6月2日に冷凍ピーマンの千切り、そして6月12日に生姜から、いずれも基準値超えの残留農薬が検出され、自主回収。6月23日にはスナック菓子のフライドポテトから国内で使用が禁止された酸化防止剤が検出されたため、自治体の保健所が回収命令を出した。スーパーや飲食店などに流通しており、消費者の口に入った可能性がある。
だが、これらの事例は氷山の一角に過ぎない。厚労省が公開した2024年度の「輸入食品等の食品衛生法違反事例」(2024年4月~2025年3月)を確認すると、中国産食品の違反事例は170件にのぼり、国別で最多だった。
中国産食品といえば、2002年に冷凍ほうれん草から殺虫成分のクロルピリホスが相次いで検出され、一時的にほうれん草の輸入が停止(2004年に再開)。2007年には冷凍餃子から有機リン系殺虫剤のメタミドホスが検出された「毒餃子事件」が世を騒がせ、2008年には乳製品や菓子など広範囲の食品から有害物質のメラミンが検出される騒動があった。
なぜ中国産食品で違反事例が続出するのか。食品の安全に詳しいジャーナリストの小倉正行氏が語る。
「日本は身近な農産物の多くを中国に依存しています。輸入食品のなかで、例えばにんじんの94%、たまねぎの93%、ブロッコリーの92%を中国産が占めている。
輸入量自体が多いために違反件数も多くなっている部分はありますが、問題は安全面の管理体制です。中国国内では農薬の管理が不十分で、日本で禁じられた農薬が使用されているケースも珍しくない。食の安全が担保されないまま、安価ゆえに中国産食品に頼り続ける構図があるのです」
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※週刊ポスト2025年7月11日号